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路上にうかぶはかなき絵

久留米市の路地裏に昭和の風情漂う木造アーケード街がある。「日吉村」と呼ばれる一角は、数件の飲食店が今も営業を続けている。この日吉村の路上に5年ほど前から色鮮やかな絵が描かれ続けている。チョークを使って描かれるチョークアートだ。

四季折々の風景を描いた絵は、飲食店の店主や客の心を和ませている。作者はSATORUさん(39)との名で活動を続ける男性だ。彼の本業は、なんと1400年の歴史を持つお寺の住職。独学でチョークアートを学んだSATORUさん。寺の仕事のかたわら市内中に描いた絵は、SNS上で話題を呼び、今では幼稚園や病院などから絵画の依頼が舞い込むほどに。彼の描く絵には、サインの代わりに、火のともったロウソクのマークが添えられる。「命や時間を削ることになっても、自分のできることで周囲を照らし続けたい」という願いが込められているのだ。雨が降ると消えてしまうはかなき絵の先に人々の笑みを思い浮かべながら、SATORUさんはきょうも路上にチョークを走らせ続ける。その活動を追った。
(製作:RKB毎日放送 / 鶴田 直久)

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