ラーメンライターも唸った、福岡異業種チャレンジラーメン

ラーメンライターも唸った、福岡異業種チャレンジラーメン

特にコロナ禍に入り、夜が主体の居酒屋や焼肉店などがランチも始めた、という話をよく聞くようになりました。そしてランチメニューの柱としてラーメンを選ぶ、はたまた麺部門を切り離した専門店を開業する異業種の料理人が増えているのも昨今の流れだと感じます。
それはランチの集客に力を入れる狙いが第一ですが、ラーメン業界に参入した異業種の料理人たちは一様に元より無類のラーメン好きであり、「いつかは挑戦してみたかった」「ラーメンは日常食であり、自分のこれまでの料理の経験で個性を出せるジャンル」と思いを口にします。

そんな“福岡異業種ラーメン”の中から今回は、完全予約制のフレンチ店と、鍋主体の居酒屋が出す麺々を紹介します。
両店を食べた感想を最初に言っておきますと、
むちゃくちゃ! うまいです。
ネットでもレシピが簡単に手に入る今の時代、ラーメンを一から作るということ自体はハードルが下がっているのかもしれませんが、それぞれの道を極めし料理人が本気で作ったラーメンはレベルが違う。心底そう思いました。

鍋と酒菜 はま岡(薬院)

ここは「鍋処 いずみ田」で約18年修業した濱岡佳弘さんが、2018年薬院に独立開業した居酒屋です。「うまい鍋あるところにうまいラーメンあり」。極論はこれに尽きるのですが、鍋の名店が出すラーメンだけにやはり“スープ”のすばらしさを詳しくお伝えしたいと思います。

はま岡塩ラーメン

まず、濱岡さんの話を聞いて僕自身もなるほど。と、皿が割れるくらい膝を打ちまくったのですが、鍋のスープとラーメンのスープは別モノであるということを言っておきます。
鍋のスープをラーメンに代用するというような単純な話ではありません。
「鍋のスープは卓上でも具を追加し火を入れながら、素材の味が染み出して完成するもの。一方ラーメンは丼の中で最初から完結していなければなりません。つまり同じ濃度では駄目なんですよね。長く鍋のダシ取りは経験してきましたが、理想のラーメンスープを作るために材料を変え、配合を変え、煮込み時間を変え、と本当に苦労しました」と濱岡さん。
鍋のスープそのままだとラーメンらしさが出ず、具を追加して煮込んでいったとしても鍋の締め麺の延長線上になってしまいます。
濱岡さんが行き着いたのは、博多地どり6、種鶏3、そして鍋では使ったことのない豚の背ガラ1の割合で煮込んだスープでした。

「塩らぁめん」(750円)のスープを飲むと驚くほどコク深いですね。淡麗系スープの中に肉系素材、ダブルスープで加える和風ダシ、貝柱など魚介の旨味も詰まっています。上品でありながら、豚の背ガラや鶏油に由来する程よいパンチ。ちなみにこの鶏油は鶏を煮込む工程で出る黄金色の上澄み油を丁寧にすくいネギの焦がしも入れたもの。ほんのりとした香ばしさがアクセントとなるほか、熱々の鶏油がスープに蓋をして冷めにくくしてくれます。

はま岡醤油ラーメン2

「しょう油らぁめん」(750円)もいただきましたが、こちらはもつ鍋のタレを改良したラーメンダレを使っています。濃い茶褐色で甘めだけども、甘ったるくない絶妙の塩梅。スープと一緒に煮込まれたチャーシューや魚介の要素も感じます。

濱岡さんはコロナ禍で店が営業できなかった時期、厨房にこもりラーメン作りにひたすら没頭してきました。結果、ラーメンの世界にどっぷりとハマり、チーマージャンも手作りする担々麺やカレーラーメンなどレパートリーも増えることに。
夏季は煮干し塩などの冷やしラーメンも出しています。

はま岡内観

麺や キママニエール(高取)

早良区高取にあるフレンチ店「アママニエール」が今年4月、同じ店舗で屋号を変えたラーメン部門「麺や キママニエール」を立ち上げました。現在フレンチの営業は金・土曜のみで、日〜木曜は昼夜ともラーメン店として営業しています。

キママニエールラーメン

「完全予約制のフレンチ店として長くやってきましたが。コロナ禍に入り、どうしても直前のキャンセルが多くなるなど思うように営業できないところがありました。思い切った打開策として着目したのが、より“気まま”に食べてもらえるラーメン。長く中華シェフとして腕を磨き、ラーメンの経験もある唐津屋さんを迎えて本格的に麺メニューの創作を2人で始めたんです」と振り返る「アママニエール」店主の山元大樹さん。

現在「麺や キママニエール」の厨房に立っているのが唐津屋安之さん。以前勤めていた中華料理店に山元さんが食べに来たことをきっかけに2人の親交が始まったと言います。

キママニエールラーメン2

定番メニューは「しお」「しょうゆ」「まぜそば」の大きく3種があります。
僕はまず、「特選しお」(1000円)を食べたのですが、これね、本当にうまいです。
スープは鶏ガラとアゴダシのダブルスープで、強烈なインパクトでなく、あくまで日常に寄り添うラーメンを目指した優しい味わい。うま味調味料は使っていません。「肉系と魚介系、双方が主張しすぎることなく馴染むように、ブレンドしてから少し寝かせています」と唐津屋さん。

また、「まずはピュアなスープを楽しんで欲しい」と、鶏ムネ、モモ肉、青菜、姫筍、ネギなど具材は別皿に添えてあるのも特徴(写真は具材をすべて盛り付けたもの)。“特選”にすると豚肩ロース肉、白キクラゲ、半熟煮卵が追加されます。
スープの味を邪魔しない、かつ色合いのバランスの観点でキクラゲは“白キクラゲ”を採用。そのほか、白身を割ると黄身がトロリと流れるリキッド系煮卵もポイントですが、僕的に一番好きだったのはスープを飲むたび、麺を啜るたびに鼻に抜ける爽やかな香り。
これはレモンスライスが入っているだけでなく、実はチャーシューをレモングラスで漬け込んでいるからなんですね。ただ柑橘を加えるだけでないプラスアルファの工夫、このような丁寧な手仕事が随所に施されています。

キママニエール冷やしラーメン

そしてもう一品、夏限定の「冷やしラーメン」(950円)もいただきましたが、これも拍手喝采! キンキンに冷やした器に注がれる冷製ダブルスープ。真ん中の黒いものはバジルで作ったソース、タップナードです。フレンチでは魚料理やパンに付けるこのソースを冷製ラーメンにイン。未体験の味わいで感動もののうまさ。一気にクールダウンできました。

8月中旬からは、ひと皿に盛り放題の中華惣菜&ごはんの新たなランチセット(好きなラーメン+350円)を始めるそう。ガッツリ派にもプッシュしたいですね。

キママニエール内観

店舗名:鍋と酒菜 はま岡
ジャンル:居酒屋、鍋、ラーメン
住所:福岡市中央区薬院3-1-16 EAGLE薬院参番館1F
電話番号:092-521-8720
営業時間:11:30〜OS13:30/17:00〜23:00 ※ラーメンはランチのみ
定休日:日曜、祝日
席数:カウンター4席、テーブル16席
個室:なし
メニュー:しょう油らぁめん750円、塩らぁめん750円、担々麺780円、咖喱らぁめん830円
URL:https://www.instagram.com/guotojiucaihamagang/
店舗名:麺や キママニエール
ジャンル:ラーメン
住所:福岡市早良区高取1-5-10オリエンタル西新1F
電話番号:092-834-2626
営業時間:11:00〜15:00/18:00〜OS22:00(ラーメンは日〜木曜、フレンチは金・土曜のみ)
定休日:なし
席数:カウンター4席、テーブル12席
個室:なし
メニュー:しお850円、特選しお1000円、しょうゆ850円、特選しょうゆ1000円、ませぞば1000円
URL:https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400203/40061072/

THE WRITER

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