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香り高い甘めの出汁が評判。大濠公園の居酒屋で愉しむ名物うどん

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大濠公園界隈のうどん居酒屋といえば、やはり「ゆうのや」に尽きます。路上に漏れる光の奥には、いつも客たちの楽しげな顔がズラリ。“愛され酒場”に特有の、温かく和んだ空気がとても魅力的です。僕もそんな磁力に抗えず、すっかり荒戸のオアシスとなった人気店の扉を開けました。

ゆうのや店内1

営むのは某有名ラーメンチェーン出身の中村雄さん。独立するときは意外なことにラーメンではなく好物だったうどんを選択。独学でうどん打ちの腕を磨き、2012年に「ゆうのや」を荒戸1丁目に構えます。ほどなく評判を呼んで人気店となり、2016年にはより広い現在のテナントへ移転。当初はうどん中心だったメニューもアテの数が充実し、うどん居酒屋として成熟しながら今年節目の10周年を迎えました。

ゆうのや店内2 ゆうのや店内3

店内は厨房が見えるメインカウンターのほか、バーのようなハイカウンターもあります。「立ち飲みスペースにする予定でしたが、皆さん座るのが好きみたいで」と中村さんが笑います。でも裏を返せば、それだけじっくり飲食を楽しみたい店なのでしょう。
さらに奥へ進むとテーブル席があり、週末には子供を連れたファミリー層の姿も。臨場感のあるカウンター席に比べ、こちらはちょっぴり落ち着いた雰囲気です。

ゆうのやポテサラ

さて、うどん居酒屋の流儀(?)に則り、まずは料理と酒からオーダー。1品目は疲れた体に喝を入れてくれそうな「四種ドロポン酢」(手前/500円)です。オクラ、納豆、山芋、なめ茸を生卵といただくスタミナ食で、熱々の白ごはんや冷たい「かま玉うどん」(奥/550円)に乗せるのもアリですよ。
どの店でも必ず頼んでいる「ポテサラ」(450円)も大当たり! そびえたつ三角錐を崩しながら口に運ぶと、細かくすり潰したジャガイモが滑らかに舌をくすぐります。その中から現れる、コーンや玉ねぎなど歯触り軽い具材とのコントラストも面白い人気品でした。

ゆうのや地鶏

品揃えの多い福岡の地酒を楽しんでいると、続いて「地鶏塩焼き」(850円)が登場。絶妙な火入れの博多地鶏は旨味豊かで、その弾力は“噛む”という行為の快感も教えてくれます。他の料理もそうですが、あまり手が込んでないように見えて、どの品にもクセになるうまさがあるんですよね。
中村さんいわく、料理のテーマはシンプルさと分かりやすさ。だからこそ、素材や出来たてにこだわった「丁寧な料理」を心がけるそうです。この「厚揚げ」(400円)も、もちろん注文後に揚げた熱々状態。一口サイズの立方体なので食べやすく、これも良い気遣いだなぁと思います。

ゆうのやうどん2

そしていよいよ総仕上げ。シメのうどんは「あつかけ」(500円)に「そぼろ」(350円)をトッピングしました。かつお節が香るつゆに浮かぶのは、ツルリと艶っぽい自家製麺。太すぎず細すぎず、讃岐と博多の中間ほどの歯応えが楽しめます。
さらに福岡産の醤油とみりんで仕立てたつゆが印象的で、そのふくよかな甘さは「ゆうのや」独自の個性となっています。しかも今日は甘く炊いたそぼろを乗せているため、コクと甘みがいっそう深まっていました。

ゆうのや店主 ゆうのや外観

「讃岐でも博多でもない、僕だけのうどんを目指しています」と中村さん。そのために研究を重ね、2種類の国産小麦で日々一心に麺を打っています。「国産小麦は高価で繊細だから扱いが難しいんです。使い手にはあまり良いことがないのですが(笑)、この方が僕もお客様も安心できるかなって」。
そうした努力の成果は、この夜の賑やかな店内にもくっきりと刻まれていました。「今年で開業10周年。次の10年先なんて誰にも予想できませんが、1年1年地道に頑張り、いろんなお客様との出会いを楽しみたいですね」。

ゆうのやメニュー
店舗名:酒呑み麺蔵 ゆうのや
ジャンル:居酒屋
住所:福岡市中央区荒戸2-1-26エバンス大濠1F
電話番号:092-725-7090
営業時間:17:00~フードOS22:00、ドリンクOS22:30
定休日:日曜
席数:カウンター13席、テーブル11席
個室:なし
メニュー:四種ドロポン酢500円、ポテサラ450円、地鶏塩焼き850円、厚揚げ400円、あつかけうどん500円、かま玉うどん550円、うどんトッピング100円~、手羽先唐揚げ150円(1本)、焼きたて玉子焼550円

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この記事を書いたひと

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