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草原の救世主~阿蘇しろひつじ物語~

熊本市の著名ホテルで高級コース料理のメインディッシュに使われている食材、「阿蘇産の羊肉」。柔らかく、芳醇なうま味は熊本県内のレストランなどで評判だ。

希少な国産の羊肉。生産しているのは「阿蘇さとう農園」の佐藤智香さん(34)だ。2年前に5頭から始めた羊の飼育は現在、60頭を超える。阿蘇の牧野で牛と羊を一緒に育てる「混牧」や、使用されない農業用ハウスや耕作放棄地となった田畑を利用するなど、身の丈に合った低コスト運営で徐々に規模を拡大してきた。
羊の大きなメリットは牛に比べ飼育コストが少なく「捨てる部位がない事」だと話す佐藤さん。肉はもちろん骨はスープに、内臓はハムやソーセージ、パテとして活用できるのだ。

今秋、佐藤さんは羊肉専用の加工場をオープン、さらには羊毛の製品化を目指すプロジェクトにも取り組み始めた。目指しているのは阿蘇の羊のブランド化。
一方で佐藤さんが羊によるビジネスモデルを模索する理由、それは維持する事が難しくなっている草原を守るためでもあった。
企業名:阿蘇さとう農園
<阿蘇の暮らしと風景を守るため様々な挑戦を続ける農家>
担当者:代表 佐藤智香さん
住所:熊本県阿蘇市西町725
HP:http://www.aso-satofarm.com/ お問い合わせ:公式ホームページの【お問い合わせ】からお願いします

取材後記

佐藤さんとの出会いは6年前。阿蘇でオリジナルのマスタード「タカナード」を開発した女性がいると聞き、会いに出かけた。
当時からやわらかい雰囲気からは想像もつかない熱い心を持つ女性で、その根底にあるのは故郷・阿蘇への思い。
阿蘇の暮らしを、景色を守るために自分ができることは何かを考え続けていた。

そんな佐藤さんが阿蘇で羊を飼い始めたと聞いたのは2年前。タカナードの時もそうだったが思い立ったら仕事が早い。気づけば5頭から始まった羊の頭数は今年60頭に増え、現在は300頭を目標にクラウドファンディングにも挑戦中だ。
羊の頭数を増やすことが経営や肉質の安定にもつながるという。

現在、阿蘇さとう農園のスタッフは佐藤さんとパートの園田さん2人のみ。
他は、兼業のサポートスタッフとして働いている。実はこれも佐藤さんの狙いの一つ。
羊の飼育を阿蘇に暮らす人が週末農業として羊を飼うような、
参加したくなる小型畜産のモデル事業にしたいと考えているのだ。
羊製品の開発、そして羊肉の出荷と「阿蘇しろひつじ」のブランド化はさらに加速する。

「これも全て先人たちが守ってきた阿蘇の草原を これからの1000年先に生きる人々のためにつないでいくためです。」可愛い笑顔で熱い思いを語る佐藤さんからこれからも目が離せない。

(RKK熊本放送 / 浅木真由美)

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