<リード>
6月はRKB70周年を記念した「カラフルマンス」として、SDGs=持続可能な開発目標への様々な取り組みを紹介しています。
今回は14番「海の豊かさを守ろう」です。
玄界灘の離島、長崎県・壱岐の沿岸では、海藻が姿を消してしまう「磯焼け」に悩まされています。
この問題を解決するため、これまで廃棄してきたものを活用する研究を、九州大学が進めています。
<VTR>
長崎県の壱岐といえば、磯の香りと濃厚な甘みが魅力のウニ。
しかし、島の名物のウニは今、危機的な状況に置かれているといいます。
その原因は「磯焼け」です。
日本の沿岸では最近、温暖化による海水温の上昇やウニの大量発生で、海藻がなくなる現象が問題になっています。
磯焼けした海で育つウニは、食べる部分が少なく売り物にならないため、厄介者として駆除されているのです。
海の状態を改善させ、出荷できるウニも復活させる一石二鳥の解決策はないか。
そんな研究を進めているのが、福岡県福津市にある九州大学の水産実験所です。
インタビュー
水槽のウニに学生が与えているこのエサ。
何からできているかというと・・・
インタビュー
実は、島の特産物のアスパラガスや、焼酎を生産する過程で出た廃棄物を使っているんです。
壱岐市にある選果場です。
記者リポート「こちら、アスパラガスの長さを切りそろえる機械です。いま出ていますように、茎の部分は通常ですとすべて廃棄されてしまいます」
アスパラガスは、出荷するときに根元の部分を切り落とします。
インタビュー
処分されるのは、一日に30から50キロ。
年間5トン程度にのぼり、焼却すると30万円ほどかかるといいます。
これを有効活用すると、焼却コストの削減に加えて、もう一つの効果も期待できます。
インタビュー
一方、アスパラガスと組み合わせるのは、もう一つの特産物の焼酎です。
インタビュー
この酒造会社はこれまでも、焼酎粕を肥料や飼料にしてきました。
クエン酸やたんぱく質を含む焼酎粕を、エサに混ぜて栄養価を高め、身の少ないウニを養殖しようというのです。
インタビュー
特産物で特産物を復活させようと始められた試み。
この日、エサで育てた養殖ウニを初めて試食しました。
インタビュー
天然のウニと遜色ない美味しさに、准教授もご満悦の様子。
実用化の可能性も見えてきたようです。
実験所はさらに、磯焼けを改善するもう一つの挑戦も始めています。
それは・・・
インタビュー
海岸付近に群れで生息するノトイスズミも、海藻を食べて磯焼けを引き起こす厄介者です。
釣り上げても身の臭みが強く、島で食卓にのぼることはほとんどありません。
そこで実験所は、ほかの地域の例を参考にするなどして、この魚を美味しく調理する方法も模索しています。
インタビュー
厄介者をただ処分せず、活用する方法を生み出し海の豊かさを取り戻す研究は、これからも続きます。
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