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「ただの寝不足」ではない?睡眠研究の第一人者が教える睡眠の改善策

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日本人の平均睡眠時間は6時間半から7時間半と、世界でも最下位レベルの「寝不足大国」とされています。そんな中、見逃されがちなのが「不眠症」です。不眠症の正確な定義や、セルフチェックの方法、そして改善のポイントについて、日本睡眠協会理事長で久留米大学理事の内村直尚さんが、4月20日放送のRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で解説しました。

不眠症の定義は「昼間のQOL低下」にあり

多くの方が「寝つきが悪い」「夜中に目が覚める」ことを不眠症だと思いがちですが、専門的な定義は少し異なります。内村さんによると、不眠症とは以下の2つの要素が揃った状態を指します。

1.夜間の睡眠トラブル:寝つきが悪い(入眠困難)、夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)、朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)など。

2.日中の不調(QOLの低下):睡眠トラブルにより、昼間に体がだるい、我慢できない眠気がある、やる気が出ないといった生活の質の低下がある。

つまり、夜眠れなくても、昼間に元気に活動できているのであれば、それは「不眠」という症状であっても「不眠症」という病気とは診断されません。

あなたは大丈夫?「アテネ不眠尺度」でセルフチェック

番組では、世界的に使われている不眠症の判定指標「アテネ不眠尺度」を紹介しました。以下の8項目について、過去1か月間に週3回以上経験したかを確認し、点数を合計してみてください。

【判定基準】

0点:問題ない / 1点:少しあった / 2点:かなりあった / 3点:非常にあった(または全く眠れなかった)

A:寝つきの問題(布団に入ってから眠るまでにかかった時間)

B:夜間の目覚め(睡眠の途中で目が覚める問題)

C:早朝の目覚め(希望する起床時間より早く目が覚める問題)

D:総睡眠時間(全体的な睡眠時間の不足感)

E:睡眠の質(全体的な睡眠の満足度)

F:日中の気分(日中の沈み込みや満足感の低下)

G:日中の活動(日中の活動レベルの低下)

H:日中の眠気(昼間の強い眠気)

合計が6点以上の場合、不眠症の可能性が高いとされます。

年齢によって必要な睡眠時間は変わる

「8時間睡眠」が理想とよく言われますが、内村さんは「必要な睡眠時間は年齢とともに減少していくのが自然」だといいます。

10代:8時間

25歳:7時間

45歳:6.5時間

65歳:6時間

「無理に長く寝ようとしすぎることも、逆に睡眠の質を下げる要因になる」と指摘します。

週末の「寝だめ」は逆効果?正しい改善法

不眠を解消するためのポイントとして、以下の2点が挙げられました。

1.休日の起床時間の差は2時間以内にする

平日の睡眠不足を補おうと昼過ぎまで寝てしまうと、体内リズムが崩れ、月曜日の体調不良(社会的時差ぼけ)を招きます。遅く起きるのではなく、「寝る時間を1~2時間早める」ことで、リズムを崩さずに睡眠時間を確保するのが正解です。

2.専門医への相談

セルフケアで改善しない場合は、かかりつけの医師(内科、心療内科、精神科など)を受診しましょう。適切な生活指導や、必要に応じた薬の服用などの治療を受けることが改善への近道です。

不眠が招く深刻な病気のリスク

不眠を放置することは、単なる疲れ以上に健康を損なうリスクがあります。最新の研究では、不眠が以下の疾患のリスクを高めることが分かっています。

生活習慣病:肥満、高血圧、糖尿病

血管系の疾患:心筋梗塞、脳梗塞

精神・神経疾患:うつ病、認知症

その他:近年では「がん」のリスクも高めることが報告されています

「睡眠をしっかり確保することは、健康だけでなく幸福度も上げ、長生きにも繋がる」と内村さん。まずは自分の睡眠の状態を正しく把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

4月に福岡市で「ふくおか睡眠フェア2026」開催!

睡眠についてより深く学べるイベントが開催されます。内村理事長も登壇するほか、元プロ体操選手の内村航平さんや競泳オリンピックメダリストの松田丈志さんら超一流アスリートも加わり、睡眠の極意を徹底解剖します。

4月24日(金):企業向けビジネスデー(ホテルニューオータニ博多)
4月25日(土)・26日(日):一般向けフェア(電気ビルみらいホール)
入場料:無料(講演については事前予約制)

申込:「ふくおか睡眠フェア2026」特設サイトからお申し込みください。   
   https://rkb.jp/fukuoka-suiminfair2026/

内村直尚氏(日本睡眠協会・久留米大学 理事長) 
医学博士。1956年生まれ、福岡県出身。久留米大大学院医学研究科終了。87~89年に米・オレゴン健康科学大に留学。2007年、久留米大医学部神経精神医学講座教授に就任。同大病院副病院長、同大高次脳疾患研究所長、同大医学部長、同大副学長、同大学長を歴任して26年から現職。21年に日本睡眠学会の理事長、23年に日本睡眠協会の理事長に就任

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