<リード>
6月はRKB70周年を記念した「カラフルマンス」として、SDGs=持続可能な開発目標への様々な取り組みを紹介しています。
今回は11番「住み続けられるまちづくり」です。
50年前に開発された福岡県宗像市にある「日の里団地」。
施設の老朽化や住民の高齢化など、これからの課題を克服しようと、官民一体となった再生事業が進んでいます。
<VTR>
先月4日、宗像市の日の里団地に新たな施設がオープンしました。
名称は「ひのさと48」48号棟を改修したもので、「地域のコミュニケーションを増やす場所」として期待されています。
インタビュー
最新の木材加工機を備え、日曜大工を楽しめる「DIY工房」に、地域の人が集まって利用できるキッチンや地産地消のメニューが味わえるカフェ、さらに認可保育園も整備されています。
そして、国内では初めてという団地内の醸造所「ひのさとブリュワリー」では、宗像産の大麦を使用したクラフトビールを味わうことができます。
インタビュー
50年前の1971年に、現在のUR都市機構が開発した日の里団地。
66棟の集合住宅と3000戸の戸建てが並ぶ九州最大級の団地で、最盛期の1993年には約1万4500人が暮らしていました。
しかし、先月末時点の住民は1万1721人で、この30年近くで2800人ほど減少し、高齢化率は35%を超えています。
5階建ての集合住宅にはエレベーターがないため、階段での上り下りを苦にして高齢者が引っ越すなど、空室も増えてきました。
インタビュー
都市計画の専門家は住み続けられるまちづくりに大切なのは「多様性」だと話します。
インタビュー
巨大な団地の老朽化や高齢化は、市にとっても大きな課題です。
そこで宗像市は、3年前から地域住民とワークショップを行ったり、企業からアイデアを募るプレゼン大会を開いたりして、団地の再生に取り組んできました。
去年3月には、住友林業や西部ガスなど10社でつくる共同企業体と連携協定を締結。
老朽化した集合住宅10棟のうち9棟を解体し、跡地には里山をイメージした住宅地を整備して、来年4月に戸建て住宅64戸を分譲する計画です。
インタビュー
その一方で、残された48号棟「ひのさと48」は、住民だけでなく周辺地域からも人が集まる交流の場として、今後も発展させていきたいと考えています。
インタビュー
まちびらきから50年。
次の50年に向けて、子供たちからもまちづくりのアイデアを募集しました。
インタビュー
子供たちがやってみたいことを大人達が本気で考え、実現させようというプロジェクト。
今回、採用されたのは48号棟の壁を使ったボルダリングです。
インタビュー
さらに、利用者の減少などを理由に、今年4月に廃止された路線バスに代わる交通手段として、宗像市はオンデマンドバス「のるーと」の実証運行を始めました。
AIを活用し利用者のニーズに応じて柔軟に走るバスで、スマートフォンのアプリか電話で予約すれば、最寄りの乗車場所に配車されます。
インタビュー
国土交通省が3年前に実施した調査では、全国に2900あまりの団地があり、その約3割が築40年を超えています。
施設の老朽化や空き家の増加、住民の高齢化など、多くの団地が同じような課題を抱えています。
記者リポート
住み続けられるまちづくりを目指して、本格的な再生事業をはじめた日の里団地。
この宗像モデルは、全国の団地再生の先駆けとして注目されています。
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