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国産杉がコンクリートを超える!?

ビジネス
国産の杉は、海外の杉に比べ強度が低く、住宅用建築材としてあまり流通していなかった。
今回、鹿児島大学工学部建築学科の塩屋晋一(しおや・しんいち)教授55歳のグループが国産杉の弱点である強度を価格の安い鉄筋と組み合わせ補強する新技術「ウッドストロング工法SAMURAI」を開発。杉の集成材に鉄筋を入れるこの工法は、一般の集成材に比べて強度がおよそ3倍。今まで作ることが難しかった大規模建築物への応用も期待されている。

SAMURAI工法は、鉄筋コンクリートの専門家、塩屋教授がコンクリートの役割を木で置き換えればいいのではないかという発想から始まった。木の柔らかさと鉄筋の強度が合わさり、このSAMURAI工法は、鉄筋コンクリートと同等以上の能力を発揮することが分かった。およそ10年の月日をかけ、今年塩屋教授らグループと鹿児島県肝付町の山佐木材が合同SAMURAI工法を使った実用化実験を行うことになった。今後、学校や役場など今まで鉄筋コンクリートで作られていた建物がSAMURAI工法を使った木造建築に変わる可能性が期待されている。
<取材先データ>
鹿児島大学工学部建築学科建築構造分野
塩屋晋一教授
〒890-0065 鹿児島市郡元1-21-40
TEL:099-285-8299山佐木材株式会社
〒893-1206
鹿児島県肝属郡肝付町前田2090
TEL:0994-31-4141
FAX:0994-31-4142
その他の情報 http://woodist.jimdo.com/

取材後記

もしかしたら日本の林業を変えるかもしれない「SAMURAI工法」!これからの可能性は無限大!九州・鹿児島で開発された技術というのが誇らしいですよね。

本編では紹介しきれませんでしたが、木材に鉄筋を入れる方法は、国内外問わず色々研究されています。
今回、塩屋教授らが開発したSAMURAI工法は、量産化しやすく、柱、ハリにも使える工法として期待されています。特にSAMURAI工法は、柱とハリを接合する部分にポイントがあります。今回、接合部分は放送NGということで、詳しく放送することはできませんでした。ほんのちょっとした工夫で接合しやすいように加工しているんですけど…これ以上は言えません。

あと接着剤にも工夫がされていて、鉄筋が錆びないように全体を覆っていたりと、工夫している箇所ばかりです。見た目はシンプルですが、どこもかしこも思いが詰まっているんです。

思いと言えば…
実は、塩屋教授がSAMURAI工法の研究をはじめるきっかけになった一人の生徒がいます。
建築学科に在籍していたMくんです。
Mくんが在籍していた2005年、鹿児島大学では、木造建築できる環境がありませんでした。塩屋教授の研究室なら、木造の研究ができるかもしれない。Mくんは、そんなかすかな希望をもって塩屋研究室に入りました。最初は、木造建築に興味のなかった塩屋先生。その後、木造建築の研究をしたいというMくんの思いに塩屋先生は根負けして、国産杉について調べ始めます。いざ研究を始めると、国産杉のことがドンドン分かってきました。特に塩屋教授が驚いたのが、国産杉の強度です。思っていた以上に強度が低かったのです。

「もっと国産杉の強度を増すことができれば、すごい材料になる。」

そんなきっかけで、SAMURAI工法の研究が始まりました。もしMくんがいなければ、SAMURAI工法は生まれなかったのかもしれない。Mくんの木造建築へ思いが、今回の実用化実験に繋がりました。

思いがあれば、なんでもできる!私も明日から、もっともっと思いを持って取材に励もう!!そう感じさせてくれました。

MBC 南日本放送 報道局 テレビ制作部 栁沼 雅貴

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