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世界へ届け!!ゼロの輪

ビジネス
講演会の最後に必ず参加者と一緒に「ゼロ」のポーズをとるNPO法人はぁとスペースの山本美也子さん(46)。この「ゼロ」には「飲酒運転撲滅」の意味が込められている。

2011年2月、福岡県粕屋町の県道で山本さんの長男、寛大さん(享年16)は友人と一緒に飲酒運転の車にはねられ、死亡した。
悲しみの中、山本さんは息子の死が何を意味しているのかを考え、飲酒運転を根絶する活動を始めた。

月1回の街頭活動。そして、福岡県をはじめ、全国各地で行う講演会はこれまでに450件を超える。

また、ご主人の浩之さん(48)は、世界トップクラスの車いすランナーだ。競技用の車いすに飲酒運転撲滅を呼び掛けるステッカーを貼ることで、世界に向けて思いを発信している。

「お酒は飲んでもいい。その後に運転さえしなければ…」飲酒運転撲滅の「輪」は、小さなスタートから今、世界に向けて大きく広がり始めている。
<取材先データ>
会社:NPO法人 はぁとスペース
担当者:山本 美也子さん
住所:福岡市東区土井2丁目34-16
電話:092-692-6316
HP:http://blog.livedoor.jp/heart_space/

取材後記

山本さん夫婦との出会いは、今から11年前。車いすマラソンの取材がきっかけでした。応援に駆け付けた息子の寛大(かんた)さん(享年16)と弟の航平さんに「ピースしちゃダメ。写らないよ!」と注意した思い出があります。とっても元気な子で、車いす生活を送るお父さんの手助けを率先してする心優しい子供だった寛大さんの悲しい知らせが入ったのは、本当に突然のことでした。

山本さんの知人から「飲酒運転の車にはねられたなんて許せない。たくさん報道して」と電話がかかってきたのを覚えています。 山本さんの流した大粒の涙…計り知れない悲しみのなか、寛大さんの死を無駄にしたくないと一生懸命に思いをカメラの前で話してくれました。

あれから3年。今も、取材する度に、講演をする度に、いつも山本さんの目には涙が溢れています。それでも、思いを伝え続けるのは、二度と同じ思いをしてほしくないというところからです。

小さな活動が共感を呼び、企業、学校、警察などが力を貸してくれるようになりました。いくらスケジュールがハードでも、体調が悪くても、伝えられる場所があれば出かけています。ある高校では、講演後、生徒の皆さんが通学バッグにハートのステッカーを貼ってくれたそうで、その気持ちがとても嬉しいと話していました。

寛大さんの同級生は来年、成人式を迎えます。彼らはお参りに訪れる度に「大人になって社会に出たら、おばちゃん、もっともっと飲酒運転撲滅を呼びかけるから」と言ってくれるそうです。

飲酒運転撲滅に対する活動は今、本当に広がっています。しかし、まだ飲酒運転はなくなりません。今、声を上げている「ゼロ」の輪がどんどん広がって、本当に飲酒運転が「0(ゼロ)」になる日を願っています。

RKB毎日放送 報道部 川内 信江

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