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博多で味わう南極は、究極の優しさで溢れていた!

暮らし
『南極カレー、調査に行ったんでしょう? 私、あれ大好きなんです!』

と、目を輝かせて聞いてくるとあるカレー仲間。

"カレーは人を幸せにする"

探偵の座右の銘ですが、それを再認識できる一皿と出会いました。
作っているのは青堀力シェフ。第49次、第58次と2度に渡り南極地域観測隊・越冬隊の調理担当として、昭和基地で隊員達の心身を支えた敏腕料理人です。
一面銀世界、閉ざされた土地で曜日感覚を保つため毎週金曜日に出されるというカレー。甲子園のサイレンを彷彿とさせる食事の合図が鳴り響くと、四方八方から皆が猛スピードで駆けつけてくる程の人気メニューだったのだとか。

『南極カレー』といっても、キンキンに冷えている訳でもルーが鮮やかな青色をしている訳でもありません。
南極最高峰ヴィンソン・マシフさながらそびえ立つ白米の上には現地では貴重な食材であるスクランブルエッグ。それを取り囲む美しいカレーの海。気持ち良さげに身を浸す手羽元。

どちらかと言うと我々が慣れ親しんだジャパニーズスタイル、このヴィジュアルだけで家庭を思い出しホッコリしてしまいそうですよね。

味わいにも隊員達を気遣う優しさが随所に散りばめられていました。
まずはサラッとしたルーの質感。これは、白夜(一日中太陽が登りっぱなしの時期)や極夜(一日中太陽が登らない時期)の影響で体内時計が狂い体調を崩しがちな隊員達が、例え食欲がなくても労せず食べられるようにというこだわり。

ニンニクもしっかり効いていて、ふわふわスクランブルエッグやホロホロの手羽元と一緒にかき込むと有無を言わさず力がみなぎって来ます。
味の決め手は生姜のシロップ漬け。代謝を良くするため、大量の生姜とスパイスをシロップに漬け込んだものをあらかじめ仕込んで行き、現地でソーダやお湯割りにして振る舞うそうですが、その出涸らしを捨てずにカレーに再利用。食材を無駄にしないのも南極流、ピリッとしたアクセントとコクに加え環境にも優しい、ならではの隠し味です。

『料理はすごい。おいしければ会話が弾み、チームの団結力も上がるんです。』
過酷な環境下で唯一の楽しみである食事。青堀さんは改めて料理人としての責任感や喜びを覚えたそう。

イタリアン、フレンチ、割烹料理、大使館、リゾートホテル料理長、自身の経験とスキル全てを賭けあらゆるジャンルでおもてなし。

蕎麦を打ったり、寿司まで握ったり。一から作った石窯でピザを焼いたり...凄くないですか? 極地において出てこないメニューは無いと言える程の充実ぶりです。

『何故か殆どの隊員が太って帰国するんです。』

という嘘の様な話には笑いました。

それぞれの出身地や好みを調べ、郷土料理を出したり誕生日にはサプライズ料理を振る舞ったり。隊員達とは家族のような絆で結ばれ、未だに連絡を取り合っているのだとか。
店入り口には南極時代の写真が。オーロラやペンギン、アザラシ、流氷の上で笑う青堀さん達の笑顔に癒されます。

展示された隊員服を着て写真を撮るのも良い記念になりそうですよね~!

皿上で吹き荒れる真心、ブリザードの如し。博多駅筑紫口から徒歩5分、そこには唯一無二の"あったかい南極"があったのでした。

店舗情報

店名 山海酒房 のんのこ
住所 博多区博多駅東2-1-23 サニックス博多ビルB1
TEL 0924773820
営業時間 11:00~14:00 17:30~20:00
店休日 ランチ 月~金 11:30~14:00
ディナー 月~木・土 17:00~23:00 金・祝前日 17:00~23:30
※新型コロナ感染状況により変更あり。詳しくはお問い合わせください。

ライタープロフィール:たける(スパイス香辛料ソムリエ)
Instagram:@take_yan78 年間1000皿以上のカレーを食べ歩くカレータレント。自らも店を開くほどカレーの虜になっている。
RKBテレビまちプリ 10:25~11:30放送(月・水・木・金曜 担当)
※ カレー探偵は木曜日放送
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