福岡発!Z世代をマイペースでリードする「PUKA」

福岡発!Z世代をマイペースでリードする「PUKA」

PUKA(プカ)との出会い

PUKAのメンバーに初めて会ったのは今年3月末。SDGs特番を作るリサーチのためでした。その番組は「衣食住」をテーマに構成することになり、僕は「衣」のコーナーを担当することに。普段からデザインはまったく気にせず速乾性などの機能重視で服を選んでいる僕がなぜ…正直、なぜ僕がファッション部門の担当になったのか、いまだに疑問です。そして一緒に「衣」を担当することになった相棒ディレクターさんは、僕より5つほど年上の男性Aさん。Aさんはかわいいデザインの洋服をよく着てはいるけど、やはり「なんで俺が?」と自問自答している様子でした。

そんな僕とAさん、二人合わせて96歳のおじさんディレクターコンビは待ち合わせ先である今泉のベローチェへ向かった。奥の席で待っていると、キラキラした若い女性が二人、「お待たせしました」とやってきました。はたから見たらきっと出会い系か何かのように見えたのではないでしょうか。彼女たちは22歳、僕たちとは倍以上の年齢差がありました。

大学を卒業し、2日後に新入社員になると言う二人の目は、大げさではなく本当に水晶のような透明感を持ち、彼女たちが少し動けばきらきらと音がするような気さえしました。彼女たちはPUKAの取り組みについて想いが溢れ出すように語ってくれました。

~そして2時間経過~

彼女たちと話を終え、ベローチェで僕たちは別れました。彼女たちの輝きのみならず、その話の内容や想いに圧倒されたおじさんディレクター二人は、彼女たちに比べ自分たちの無力さに打ちひしがれていました。そして打ち合わせで受けた衝撃を処理しきれずとりあえず近くのファミレスに移動し、また呆然としながらクールダウンすることになるのです。

古いものを新しく魅せるPUKA

PUKAは、「社会問題をプラスに変えるプロジェクトチーム」。2020年7月に創設。先ほどの打ち合わせに現れた女性二人、宮原佳乃さんと永渕愛理さんを中心とした7人組の女性グループです。そしてそのほとんどが大学生。立ち上げ当初は宮原さんも永渕さんも大学生でした。

二人が出会ったのは16歳の頃。オシャレが大好きな二人は「ファッション誌を作りたいね!」と意気投合したものの、その後クラスは別々になりその会話も二人の夢物語に…なりかけていたところ、大学4年生になった宮原さんは夢を諦めきれず、別の大学に通っていた永渕さんに数年ぶりに連絡をとりました。「社会人になる前に形にしよう!」という話になり、二人が大好きなファッションを切り口に環境問題解決に向けて発信するサステナブルなファッション誌「PUKA」を作ることにしました。資金はクラウドファンディングで20万円を集め、その夢は実現したのです。なんという情熱と行動力でしょうか。

大好きだからこそ知ったファッションの社会課題

その根源にあるのは、ファッション大好きな宮原さんはアパレルブランドでアルバイトをしていた当時の実体験。まだ前シーズンの商品が売れ残っているのに、次々に新しい洋服が運び込まれ古いものが廃棄されるという現実を目の当たりにしたのです。ファッションの裏側を知った宮原さんはこのままでは、自分たちが生きる未来に不安を感じ行動を起こしたのでした。

一方、我々おじさんディレクターコンビの学生時代はというと、僕は剣道しかしていなかったし、Aさんはプラモデルに没頭していた。社会のことなんて関心もなく気ままにすごしていたことを思い出すと、彼女たちの視野の広さ、責任感の強さ、ずば抜けた行動力には本当に頭が上がりません。

今までのファッション誌では“ありえない”企画

雑誌の内容は、これまでのファッション誌とは一線を画すものです。「新作!」「今年の秋はこのアイテム!」なんて言葉は出てきません。出てくるのは、玉ねぎの皮を煮出して染めたシーツを縫製したスカート。そして、お父さんの作業着をリメイクしたドレス。もう一つのドレスは、廃棄されるはずだったカーテンが材料。しかも全部かわいい!これは剣道&プラモデルおじさんだけでなく老若男女、多くの人が「PUKA」を見た時のリアクションでもあります。

さらに彼女たちのアイデアで最も興味深かったのは「タンスにダイブ」という企画のページ。メンバーが自分たちの実家や祖父母の家のタンスを調査!奥に眠っているセーターなどをひっぱり出し、自分なりのセンスで着こなしてみせるのです。誌面に書かれたキャッチコピーは「昔の服、新しい私」。持続可能を言い当てる素晴らしい言葉だと感じました。

またInstagramの企画では、彼女たちの出身地である飯塚の商店街にも派生し、商店街のブティックなどにお邪魔して年配の方用に作られたような洋服もアレンジして「新しい私」を表現し発信し続けているのです。その先には商店街の賑わいを取り戻したいという思いも。世代を超えたファッションの提案は、1枚の洋服を大切に着る、受け継ぐことの大切さ、さらにレトロなのに新しさも感じさせられました。

そんな彼女たちの活動やアイデアを取り入れ、SDGs特番でもリサイクル素材を使って新しい洋服を作り上げてもらい、ファッションショーも行いました。

PUKAの活動は続く

それ以降、メンバーの皆さんとは頻繁に連絡を取り合う仲です。なかでも宮原さんは、RKB社員食堂の生ごみ堆肥を使って野菜を作る「るるるガーデン」の糸島支部のメンバーに。

さらに、最近の「PUKA」のInstagramを見ると「もち麦」を使ってオリジナルの「カヌレ」をつくり始めているようです。その背景には、2017年にメディアやSNSで注目を集めた「もち麦」(栄養価が高くお米と一緒に炊くともちもちに!)の流行がありました。「もち麦」ピークアウトした今、精算に消費が追いつかず、余剰在庫の問題が出てきているそうです。もち麦を、彼女たちの手で形を変え、また新しく世に送り出すつもりなのです。発売が待ち遠しいです!

最後になりましたが「PUKA」の意味は、「服の明日」→「服日」→「プカ??」という彼女たちが考案した造語です。そしてプカプカと楽しい未来を思い浮かべる時間をこの雑誌から提案したい!という思いも込もっています。おじさんたちもウカウカせず、次世代のためにプカプカした社会を実現できるよう、行動を加速しなければと思わされたのでした。

THE WRITER

松井聡史 / RKBテレビ制作部ディレクター
松井聡史 / RKBテレビ制作部ディレクター
カメラやパソコンよりも土を触ってる時間の方が圧倒的に長いRKB農園部(自称)。最近の仕事は、生ごみのコンポスト、畑の水やり、除草作業、野菜の販売、そして時々、番組企画書の作成。RKBラジオよなおし堂ではレギュラーでコーナーを持ち、SDGsを発信している。

金曜ドラマ『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』

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