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旦過市場火災から1年・・・今の市場は!?復活した店・新規参入した店!元気を取り戻す旦過市場をリポート

「北九州の台所」と呼ばれる旦過市場。生鮮食品を扱うお店や飲食店などが並び、北九州民の胃袋を支えてきた、生活には欠かせない場所です。そんな旦過市場が昨年大規模火災に2度も見舞われました。元々旦過市場一帯には約120のお店がありました。1度目の火災は4月19日未明に発生、1900平方メートル、42店舗が焼損しました。それから4か月たたない8月10日の夜、2度目の火災が発生。この時には3300平方メートル、45店舗が焼損。あわせて事務所や倉庫などを除いた74店舗が被災しました。

4月の1度目の火災から1年たった今、旦過市場はどのようになっているか、宮脇アナが訪ねてみました。

 

北九州市によると被災した74店舗のうち、49店舗がすでに営業を再開、9店舗が再開を希望・目途が立ったと回答しました。お店とお客のどちらも賑わいを取り戻しつつある旦過市場。被害が大きかった旦過市場北側の入口は火災直後、瓦礫が山積みになっていましたが、現在整備されラーメン店が一足早く営業を再開しています。その隣には仮設店舗の「旦過青空市場」が3月30日に完成しました。長屋づくりで最大26店舗が入居できるようになっていて、現在食品関係など21店舗が入居予定。4月後半から順次営業が開始されます。

 

商店街の中にある色とりどりの野菜や果物が並べられた「新保商店」。店主の新保裕慈さんは旦過市場で44年間商売をしてきました。新保さんのお店は1回目の火災で全焼しましたが、その6日後に北九州市立大学の学生が運営する「大學堂」の一角を借りて営業を再開。昨年の5月には「火災でお店はなくなったけど自分の体がある。支えてくれる方がいっぱいいるのが宝です。自分を育ててもらった旦過で燃焼したい」と固い決意で完全復活を目指していました。火災から2ヶ月後の昨年6月には元の店舗から程近い場所で営業を開始。新保さんは「皆さんのお役に立たせていただける自分の役目がある。1年間色々あったが、どん底に落ちても這い上がる忍耐力を皆様からいただいて、今日がある。旦過の良さである人と人との触れ合いは素晴らしいです」と力強く語りました。

 

新保商店のすぐ近くにある「戸根食肉」は創業70年の老舗の精肉店ですが、4月の火災で全焼しました。戸根食肉の松田角二さんは「瓦礫が撤去され次第、営業を再開したい」という思いを胸に、火災後も毎日お店の前に立ち続けていました。仕事ができない葛藤もありながら準備を進め、火災から11ヶ月ぶりとなる今年の3月に被災前と同じ場所で営業を再開。お客さんからは「火災でしばらくなくなってしまって寂しかったが、また買いに来られるようになって嬉しい」との声が寄せられています。松田さんは「旦過、特にこの通りが好き。他の場所での出店は全く考えなかった」と旦過市場に対する愛を語ってくれました。

 

サバやイワシなど青魚をぬかみそで炊いた旦過市場の名物を販売する「ぬかみそだきふじた」では旦過市場の知名度をさらに高めようと新商品を開発。開発されたドレッシング「小倉ちょびどれ」は秘伝のぬかみそにレモンの酸味を加えた、しっかりと旦過市場のぬかだきの味を堪能できる商品です。“ぬかみそだきふじた”の藤田崇秀さんは「小倉の名物の郷土料理をアレンジした名物としてこれから発信していきたい」と話しました。

・小倉ちょびどれ 918円(JR九州ステーションホテル小倉で販売)

この1年間、旦過市場の変化をくまなく見てきたのが旦過市場で広報を務める林さん。火災直後の様子から復旧していく旦過市場の日常をほぼ毎日、動画投稿サイトで発信しています。林さんは旦過市場の広報として情報発信を続ける傍ら、燻製専門店「燻製処いぶしや」を営む商店街の一員です。1回目の火災で営業できなくなり、昨年の6月現在の場所に店舗を構えました。「濃くて長く感じた1年間だった。起こってしまったことは変えられないので前を向ける人だけでも前を向いてやっていくことがいい未来に繋がると思う。旦過市場があるから北九州・福岡・日本に来るという観光資源にしたい」と述べました。

被災した74店舗のうち15店舗が廃業を決定した一方で、昨年11月に空き店舗を改装して新規出店した「北九州名物かしわうどん」。JR小倉駅構内にあるソウルフードが旦過市場でも楽しめるようになりました。北九州出身の楠見さんは「母が毎日のように買い物をしていてお世話になった旦過市場の復興の力になりたい」と自らかしわうどんの社長に話を持ち掛け、出店を決めました。

・かしわうどん 480円

旦過市場の再整備について、モノレール旦過駅側では4階建ての商業施設を建設予定。市場の方々はそれぞれ立場・状況が違うため北九州市の職員がきめ細かな聞き取りを行った上で最善の方法を探っています。現在は店舗移転の話し合い中ですが、その後は旦過中央市場の解体工事やその他店舗の移転工事を行い、2027年度に完成目標です。

 

旦過市場商店街の黒瀬善裕会長は「初めは何から手を付けていいか分からず、1年前の火災の時にはこんなに復興できると思わなかった。旦過市場を取り巻く皆様のおかげで前を向くことができ、感謝に尽きる1年だった。旦過市場で元気に営業をすることが恩返しの第一歩だと考える。50年100年先にも繋げていけるような旦過市場にしたい」と目標を話してくれました。

4月下旬から旦過市場では感謝の気持ちを込めて「タンガリボンフェス~約束と絆の感謝祭」が開催されます。5月1日(月)には半額市や季節の特売、6日(土)にはウォールアート制作体験、13日(土)午後4時からは宵市が開催されます。宵市では縁日をイメージしたお子さん向けのブースや商品券の抽選会も実施されるということで、家族で楽しめるイベントとなっています。ぜひお出かけしてみてはいかがでしょうか?

これからも一歩一歩復興に向けて進んでいく旦過市場を私達は応援しています!

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