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ジャニーズ事務所の“社名変更なし”に松尾潔「被害者置き去り」と批判

「ジャニーズ事務所の社名は変更しない」―――。性加害問題についてメディアを通じて早くからコメントをしている音楽プロデューサー・松尾潔さんが、9月7日の事務所側の会見を受け、11日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で改めて「被害者ファーストであるべき。社名を変更しないことは、被害者を置き去りにしている」と指摘した。「ジャニーズ事務所の社名は変更しない」―――。性加害問題についてメディアを通じて早くからコメントをしている音楽プロデューサー・松尾潔さんが、9月7日の事務所側の会見を受け、11日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で改めて「被害者ファーストであるべき。社名を変更しないことは、被害者を置き去りにしている」と指摘した。

ジャニーズ事務所が記者会見

9月7日、ジャニーズ事務所が記者会見を開き、新・旧社長たちが出席しました。すでに4日が経過していて、多くの論評がなされていますが、このコーナーで早くから取り上げてきた問題ですので、改めてコメントします。
 

今回の会見、「やっと」という気持ちを起こさせるくらい時間はかかりましたが、僕が見た印象としては「この国の中にも自浄作用的なものが残っているのかな」という、かすかな希望を抱きました。

「法を超えての救済」は評価

今回の記者会見、「開かれてよかった。めでたしめでたし」という気分ではありませんでした。たしかに、評価すべき点はたくさんありましたが、全体としては、どこか芝居がかった、きつい言い方をすると、茶番めいたところもあった気がします。
 

まず評価すべき点は、新社長である東山紀之さんが力強く「法的なところに縛られずに」と述べて、法を超えて救済や補償をすると明言したことです。例えば勇気を持って告発された服部吉次さんは70代で、被害はジャニーズ事務所ができる前のことでしたが、「時効だから」という主張はしないということです。
 

そもそも今の法律全てが正しいのか、ということもあります。国民感情も意識しての決定だと思うんですが、事務所として時効に縛られないような救済や補償を記者会見の場で言ったのは大きなことだと思いますね。
 

一方で疑問もあります。文藝春秋やBBC、さらに国連人権理事会まで動いたときにも、事務所はまるで静観していました。世界的に見ると相当大きな信頼がおける機関が指摘したことさえも“憶測扱い”していたのです。それなのに、自社の第三者委員会が事実確認したらこんなに(簡単に)意見を覆す。これで「外部の意見に耳を傾けた」と言えるのでしょうか。

「会見の不自然さ」の正体

東山紀之さんの新社長就任という人事に関して、僕は疑問があります。身内で首をすげ替えただけじゃないかと。特別チームは「解体的な手直し」ということを提案していました。どう捉えるかにもよりますが、「解体的」には程遠いと思いますね。
 

それゆえ、東山さんが「人生賭けて」とか「人類史上最も愚かな事件」「鬼畜の所業」とか発言しても、僕には空疎というか、そこまで言わないにしても、ちょっと不自然だなと感じました。その不自然さの最たるものはやっぱり「社名を変えない」ということですね。
 

特別チームの報告書に、社名の変更について言及がなかったから、記者会見で事務所側から社名について触れることはしなかったのかもしれません。ただ、4時間以上に及ぶ記者会見の終盤で「変更は検討の余地あり」とは言っていましたけどね。

「社名の継続」は被害者を置き去りにしている

「では、なぜ社名を守るのか?」と質問されたときの東山さんの答えも気になりました。すなわち「これは創業者や初代グループの呼び名にとどまらない、所属タレントにとってはエネルギーやプライドという性格を担った名称でもあるので、それは守らせていただきます」という理由だったのですが、これはさすがに無理筋だと思いました。
 

やはり記者たちも「事実認定した性加害者の名前であり、社名を連呼することが被害者のフラッシュバックの引き金になるのではないか。実際そういう方もいます」と翻意を促しましたが、東山さんは「その通りだと思います。はい。正しいと思います」とある種、官僚的な受け答えでした。一体どこまで本気で変えようと考えているのでしょうか。
 

たしかに、所属タレントとファンのことをよく考えていることはわかりました。でも「被害者ファースト」であるべきだと思うんですね。それがあってのファンであり、所属タレントであると、これは当然のことだと思います。社名継続ということ自体、被害者を置き去りにしている気がしました。

企業も意見を表明するべき

ジャニーズWESTというグループ。僕は楽曲を提供したこともあるし、メンバーとテレビで共演したこともあります。その「ジャニーズ」が入っているグループのメンバーである中間淳太君が、大阪のテレビ番組で、「一人でもジャニーズという文字を見て嫌な思い出が蘇ってしまうのであれば、僕は変更すべきだという気持ちもあります」とコメントしたそうです。
 

所属タレントがこのような発言をしたということは、事務所内でも答えがまとまっている状態ではないということが透けて見えましたね。僕は社名を変えるべきだと思います。子供の人権への配慮というものが、絶対なければなりません。
 

SDGsを掲げる日本、そして日本企業の人たちも、二枚舌にならないような行動をとってほしいですね。東京海上日動、JAL、アサヒグループHD、キリンHDといった、それぞれの業界最大手のグローバル企業が、ジャニーズタレントのCM起用を解除する動きを一斉に見せています。
 

これに関しては「そこまでやる必要あるのか?」と、賛否両論あるようです。僕は、企業もきちんと意見を表明してしかるべきだと思います。何も言わずに突然契約解除するということも実際に起きているのかもしれませんが。
 

僕は世の中における「正しいこと」って、いつの時代も難しいと思うんですね。立場によっても、どう見るかによっても違いますし。だけど、rightかwrongかではなく、fairかunfairで物事を見定めるという気持ちをいつも持つべきです。今回の事件も、そのことを確認するための好機と捉えたいと考えています。

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