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揺らがぬ“畳愛”家族も応援する4代目アトツギ
徳田さんのアートも表現の対象は「畳」から揺るがない。鮮やかな色彩の抽象画が中心で、筆ではなく張り替えで出た畳の原料「い草」の切れ端を用いる。
徳田さん「めっちゃ書きにくい。書きにくいけど、筆ではでないような質感が出るのはアートの面白さの一つ。難しいですが楽しんでいます」
い草の生命力や粘り強さを一本、一本アクリル絵の具を重ね、浮かび上がらせる。去年からは個展も開催するようになり、「畳君」の愛称で人気を集めている。
博多阪急ライフスタイル営業部・加藤大貴さん「技術や知識ではなく徳田さんが伝えたいものが明確化していました。アートとしても発信できると思いました」
4代目“アトツギ”になった後、異色のアプローチで畳文化を次の世代に残そうとしている徳田さん。家族にも頼もしく映っている。
父・幸生さん「最初はなかなか理解できませんでした。だんだん広がっていくので、そういう方法もあるのか、面白いやり方だと感じるようになりました。畳の魅力を“違った形”で広めてもらいありがたいですね」
母・依子さん「作詞作曲して歌に始まり、次はアート。その次は?とワクワクしています。心配もありますが、息子を信じてできる限り応援したいです」
唯一無二の表現を追い求めるスタイルは、ネットの書き込みで叩かれることもあった。
徳田さん「畳職人なのに音楽ばかり歌って仕事をちゃんとしろ!と。でもそこではない。畳職人が畳を作るのは、空気を吸うぐらい当たり前のこと。それ以外のことをやらないと畳は残らないのでそれを強く言いたい」
次の“表現”は何?空間デザインも手掛ける?
高品質の畳を世に送り出すだけでは、畳文化もやがて廃れてしまう。強い危機感から自分のスタイルを貫く徳田さんは今年、京都芸術大学の通信課程に入学した。畳を表現する新たな手法として「空間」についても学ぶためだ。仕事を終えた後、深夜にパソコンと向き合う日々が続いている。
徳田直弘さん「全国の畳店が徳田のことを見て、こういうあり方、畳職人の働き方の一つのモデルになり、後継者問題の一助になればいいかなと思います」
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この記事を書いたひと
小松勝
1991年生まれ。福岡県福岡市出身。