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野菜にもストーリーがある ペペロンチーノの食材は都会の片隅で生産される「箱崎小町」刺し身にもステーキにもなる「博多カブ」

「食の街」として全国的にも有名な福岡市。一方、九州最大の都市でありながら、野菜も生産されていることはあまり知られていません。野菜の「特長」や生産者の「思い」を付加価値として、「野菜もおいしい街」として打ち出せないか。都会の新たな取組がスタートしました。

選ばれた4つのブランド野菜

 

まだあまり知られていないこうした野菜は、「食の街」福岡市の新たなブランドとして打ち出せるのではないか。福岡市は、博多カブを含む4つの農作物を、「ブランドストーリー」として発信することを決めました。選ばれたのは、「博多しゅんぎく」と青ネギの「箱崎小町」、「元岡トマト」「博多かぶ」です。

 

 

福岡市 高島宗一郎市長
「福岡でもこんなおいしい食材がとれるんだということを知っていただければ嬉しい」

 

 

「野菜もおいしい街」としての認知が高まることを目指す福岡市。「ブランドストーリー」として付加価値を付けた野菜を発信することで、農家には生産を続けるための収益の確保を、市民には生産者の思いがこもった新鮮でおいしい地元の野菜を味わってもらうことを目指しています。

 

 

福岡市 農林水産局政策企画課 森塚幸治課長
「福岡市の中で農業をやっていくという方、こだわりや思いを強く持っている方がいらっしゃいますので、歴史や食べ方、特徴なども含めてブランドストーリーと位置付けて積極的にワンセットでPRしていきたい」

水耕栽培でつくるネギは「爽やかな香り」

 

「ブランドストーリー」に選ばれた青ネギの「箱崎小町」は意外な場所で作られていました。


RKB 町田有平記者
「住宅街でひときわ目立つ農業用ハウスがあります。入るとすぐに香ばしいにおいが鼻をくすぐります。ハウス全体に満ちている感じですね」

 

 

福岡市産の青ネギの市場シェアは、6%。その中で、「箱崎小町」は、土壌ではなく水耕栽培で育てられています。爽やかな香りと辛みが少ないという特長と、都市化が進む中でも農業を続けていきたいという生産者の思いから、「ブランドストーリー」に選ばれました。

 

 

川嶋正信さん(38)
「農家さんの数が減って、かつて畑だった場所もマンションに変わってきています。畑をできるだけ残していきたいということと、自分だけではなく、この『箱崎』という地域全体がブランドになればいいなと思っています」

地元初レストランでも提供

 

福岡市は、有名レストランに「ブランドストーリー」野菜を使ったメニューの考案も依頼しました。「ピエトロ」では、2月限定のメニューとして「箱崎小町と紅ズワイガニのペペロンチーノ」を提供しています。長めにカットされた「箱崎小町」をパスタとよく絡むようあえています。このレストランでは、定番メニューの中でも、「箱崎小町」や「元岡トマト」などの「ブランドストーリー」野菜を食材として使用しています。

 

 

ピエトロ FMP推進室 小木直樹室長
「みなさま、とてもこだわった作り方をされていますし、お水にも気を使われていたり。細部にまでこだわっているということが改めてわかりました。福岡の地産地消、今後も続けていけたらと考えています」

 

 

福岡市は、「ブランドストーリー」の対象野菜を、今後増やしていくとともに、食育イベントの実施などを通して、販路拡大や知名度アップをめざしていきたいと話しています。

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この記事を書いたひと

町田有平

2010年RKB入社。報道記者、情報番組ディレクター、ラジオプロデューサーなどを担当。2女の父で趣味はキャンプと筋トレ。