しょうがと石橋で有名な熊本県八代市東陽町で、60年営業を続ける「みなみドライブイン」。
味噌汁の代わりに大盛りチャンポンが付く700円の定食を目当てに、県内外から連日多くの客が訪れる。
店を営むのは、寡黙な2代目前田謙二さん(69)と明るく社交的な祐子さん(70)。性格が真逆の凸凹夫婦だ。
2人が出会ったのは謙二さんが29歳の時。娘を手放したくない父親への『プレゼント作戦』が奏功し めでたく夫婦に。以来40年、ふたりで店を守ってきた。夫婦円満の秘訣は「旦那が文句を言わないこと」だと祐子さんは笑う。3人の子供にも恵まれ、店が休みの日にはふたりで温泉巡りを楽しむおしどり夫婦だ。
にぎわう店内の片隅に、「常連席」専用のテーブルがある。毎日のように通ってくるお年寄りのために祐子さんが確保しているのだ。ここに座るのは70~90代の高齢者ばかり。毎朝バスでやってきて、お土産をもってくるおじいちゃん、店から電話をかけて仲間の安否確認をするおばあちゃんなど、店に集うことがすっかり生活の一部になっているようだ。テーブルに数人集まると昼間から宴会が始まる日も。その様子を祐子さんは「店の宝もの」と嬉しそうに眺めている。小さな田舎町にある食堂の日々をみつめた。(RKK熊本放送/吉野友規)
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