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福岡県でガードレールの「端」大量窃盗-230枚どこへ?背景にスチール高騰

ガードレールの両端にあるクルッと折り曲げられた部分が何と呼ばれているかご存じだろうか?「袖(そで)ビーム」と呼ばれ、車が衝突した時に衝撃を和らげたり通行人への被害を防いだりするためのものだ。福岡県東部の上毛町(こうげまち)と隣の豊前市でこの袖ビームが230枚も盗まれていたことが分かった。
福岡県上毛町を通る林道。道路に沿って設置されたガードレールをよく見てみると・・・。
「ガードレールの端に設置された丸みを帯びた部分が取り外されています。先に目をやりますと、あちらでも外されているのがわかります」(RKB黒木秀弥)
取り外されていたのは、両端にある「袖ビーム」。異変が起きたのは、先月23日のことだった。昼すぎに農作業をしていた男性が、ガードレールの端で怪しい動きをする2人組の男を目撃したという。
「上に背の高い人がいて下に低い人がいた。ちょっとこっちを見たような感じはした。そのまま取って車に載せて走り去った」(町に連絡した男性)



男性からの通報を受けた上毛町は町内の林道をくまなく調査。計135枚もの「袖ビーム」が無くなっていることが分かった。被害はこれにとどまらなかった。隣接する豊前市の林道でも96枚が無くなっていたのだ。2つの自治体で約230枚も盗まれたことになる。
「3月の検査では被害はありませんでした。端だけ取られている状況はイメージできなかったので驚きでした」(上毛町の職員)
事件の背景にあるのは鉄の価格高騰だ。おととし4月時点の九州圏の鉄スクラップの平均価格は1万7500円/トン。これが先月は6万5500円/トンになった。2年で4倍近く上昇した計算だ。新型コロナの影響で解体工事が遅れ、廃材が減ったことが高騰につながったと考えられている。公道からガードレールなどの金属が盗まれる事件はこのところ各地で起きている。
「町の方が山に猟に行く時に通りますし、すれ違いのときに危険性が増すと思います。業者の方には簡単に外せると言われた。どうしたら盗まれないか協議して対応を考えなくてはいけない」(上毛町建設課土木係・木村航主事補)



設置費用も含めた被害総額は上毛町だけで100万円を超えると見られている。警察は鉄の売却を目的とした窃盗事件とみて捜査している。

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