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介護施設ギリギリの経営……新型コロナと物価高が追い打ち 介護保険があってもサービスが使えない時代に?

高齢化社会を支える介護施設が、燃料高や物価高で窮地に立たされています。

デイサービス「すごく助かってます」

北九州市小倉北区にある複合型介護施設「都の杜」。有料老人ホームのほか、デイサービスや訪問介護など様々なサービスを提供しています。

新型コロナで状況一変

村上弘子さん「母はアルツハイマーなんですけど、日中みんな仕事があっていないので。心配ですよね、置いてけないので。本当にデイがあってすごく助かってます」 母の三浦房子さん「いいところですよ」

新型コロナで状況一変

要介護者とその家族を支えている介護施設ですが、その様子は「新型コロナの流行で一変した」と施設の責任者は話します。
フジケア 白木裕子社長「今、感染対策のために、毎朝全員お熱を測ったり、お昼も、帰る時も、1日3回健康観察をしないといけない。利用者さんが触るところは全部アルコール消毒をしています。もうかなりスタッフの身体的負担もかかっていると思います」
感染対策は、スタッフの身体的な負担だけでなく、施設の運営費にも重くのしかかっています。

コロナ対策で負担増

RKB小畠健太「多くの方が利用しているデイサービスの施設ですが、コロナの対策として、常時この窓を開けて換気しているということです」 換気のため、窓を開けっぱなしで室温管理をしなければならず、エアコンは年中つけっぱなしです。
デイサービスセンター都の杜管理者 石井朱實さん「扇風機、サーキュレーターをずっと常時つけっぱなし。だから真夏でも暑いですね、熱風が来ますので。扇風機とかうちわとかでしのぎました」
Q.その分費用がかかっているわけですよね?
「かかっています。非常に高いです」

さらに……。入浴介助のサービス。1日に20人前後が利用します。
(Q.お湯を全部替える?) 介護職員平岡由紀さん「一人ひとり替えます。1人入ったら(せんを)抜いて、上がって、入れて、みたいな感じです。清潔に保つために入ってるから、入れ替えですよね」

介護保険制度の仕組み

換気や空調、入浴と様々な場面で電気代は、コロナ禍前の約1.5倍にまで膨らんでいます。また、利用者の送迎や訪問介護の際にかかるガソリン代も高騰しています。
フジケア 白木裕子社長「物価高騰については、今のところ何ら補填はありません。間接費、消耗品の値上がりは、本当に経営そのものをかなり圧迫するような状況になっていると思います」

介護保険制度の仕組み

介護事業の収益は、介護保険法で決められた「介護報酬」がすべてです。物価の高騰に対する補助などは一切ないため、閉鎖に追い込まれる事業所もでています。
フジケア 白木裕子社長「事業所規模がかなり小さなところは、本当に圧迫をされて、デイサービスなどを閉鎖をしたり、居宅のケアマネージャーさんのところも閉鎖したり。そういった流れは市内でも起きていると思います」

若いスタッフのなり手が……

国は今年2月から、福祉・介護職員1人当たり月額9000円を加算しています。しかし、求人に若い人が応募してくることはほとんどない、といいます。
規模多機能ケア都の杜 計画作成担当者 河邉みち子さん「慢性的に人手は不足してるかなと思います。作業がきついとか、給料も普通の一般のサラリーマンとかに比べると安いのかな。介護報酬をちょっと上げていただくと、給料として反映させられるのかなと」
都の杜でも職員の平均年齢は58.5歳。ニーズにあわせて様々なサービスを考えたくても先が見通せません。
デイサービスセンター都の杜 管理者 石井朱實さん「朝から夜まで夕飯も出すとか、柔軟な体制でご家族の支援を、在宅支援していきたいんですが、やはり運営状態が厳しいので、そういうことをしたいと思いながらもできない状態です」

制度があってもサービスできなくなる?

高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすために欠かせない、介護施設。
利用者小林光子さん「(この場所が)なくなったらもう、本当に生きがいがなくなります。ここ楽しくて」
慢性的な人手不足とスタッフの高齢化、そこに新型コロナと物価高も重なり、多くの介護施設がギリギリの状態で経営を続けています。

 
フジケア 白木裕子社長「もう待ったなしの状況にあると思います。(このままでは)本当に保険があるんだけどサービスは使えない、という介護保険制度になってしまう可能性が高いかな、と思います」

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