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「オスプレイ」佐賀空港で受け入れへ 漁協が協定見直し 地権者は買収応じるか

佐賀空港へのオスプレイ配備計画について、佐賀県有明海漁協は、自衛隊との空港共用を否定した公害防止協定を見直しました。国が佐賀空港へのオスプレイ配備を要請してから8年。計画は大きな転換点を迎えました。

佐賀県と漁協が結んだ「公害防止協定」


1日に開かれた、佐賀県有明海漁協の幹部による検討委員会。佐賀空港が建設される際、県と漁協が取り交わした「公害防止協定」の見直しについて話し合われました。今から約30年前に結ばれた協定にはこのような文言が記されています。

「県は佐賀空港を自衛隊と共用するような考えを持っていない」(1990年、覚書)

8年前に「佐賀空港がベスト」と防衛副大臣

国は今から8年前に、空港を管理する佐賀県に対して、佐賀空港に陸上自衛隊のオスプレイ17機を配備させてほしいと要請しました。
武田良太防衛副大臣(2014年)「地理的な要素、そして環境面、そして運用面等々、総合的に判断した結果でありまして、佐賀空港がベストであると」
計画を進めるうえで壁となっていたのが、自衛隊との空港の共用を否定する公害防止協定です。機体の安全性や騒音、さらに漁業への影響を懸念し、佐賀県は当初オスプレイの配備には慎重な姿勢をみせていました。しかし――。

佐賀県知事は受け入れ 漁協の判断が焦点に

山口祥義・佐賀県知事「県としては防衛省からの要請を受け入れ、公害防止協定・覚書付属資料の変更について、有明海漁協と協議させていただくという判断をした」(2018年8月24日)

山口知事は受け入れを決断、協定見直しの判断は漁協側に委ねられました。九州防衛局は、漁協側が求めていた土地の買収価格の提示や排水対策について説明を重ね、理解を求めました。そして1日、漁協は協定の見直しを決めたのです。
佐賀県有明海漁協 西久保敏組合長「苦渋の選択で(検討委員会では)みなさんから全員一致で賛同をもらえました。(知事の訪問が)最後の決め手だったと思います」

反対の漁協組合員も……期限は迫る

組合員の中には、協定の見直しに反対している人もいます。
反対住民の会 古賀初次さん「昨日決まるとは、私も……びっくりして、歯がゆい思いが胸にこみ上げてきた」
協定の見直しを受けて、九州防衛局は「用地取得や関連自治体への説明など、丁寧に対応していく」と話しています。ただ、配備予定地には約260人の地権者がいて、用地買収が難航することも予想されます。協定の見直しを決めた文書の中で、有明海漁協は次のような但し書きを添えています。

「防衛省が、佐賀駐屯地の用地を取得できないことなどにより、佐賀空港への自衛隊の配備計画を断念したときには、この文書は効力を失う」

現在、千葉県の木更津駐屯地に暫定配備されているオスプレイは、2025年7月までの期限となっています。期限が迫る中、佐賀空港への配備計画は進むのか。今後の交渉の行方が注目されます。

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