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漁師から芸能人までが通う海鮮の店「TocToc(トクトク)」

福岡市の飲食店は長浜鮮魚市場が近いこともあり、海鮮の美味さが全国的に有名である。
早朝から多くの飲食店の仕入れ責任者が最高の鮮魚を買い付けに来て目利きが行われ買われていく。盛り付けや味付けが加わることで飲食激戦区の福岡の街において名店や人気店が存在する。
福岡市中央区港という地の人気店。今年で24年目の“TocToc”港店に行ってきた。
決してアクセスが良いわけではないが、いつ行ってもお客さんで賑わう店内。カウンターとテーブル、個室も各種完備されており、芸人さんやミュージシャン、元メジャーリーガーや現役プロ野球選手が新鮮な魚介を求めて予約が入る。

ちなみに“TocToc”という屋号は韓国語とフランス語でドアをノックする音を表現しており、たくさんノックしてもらいたいという想いで決まったそうだ。
「これ、中洲で食べたら倍はするよね。お得やねぇ。」という会話が厨房に漏れ聞こえてくるのがスタッフのやりがいになっているそうだ。

大将が魚好きでは無いからこその工夫


実のところ、創業者は魚介類が好きでは無いにもかかわらず、“海が近いから魚料理だろ!”と始めた店。自分が魚が美味しいと思えないからこそ「自分が美味しく食べられるなら、それは魚が好きな人にとっては無茶苦茶おいしいに違いない」という信念で食べ方を工夫して人気店になったのだ。

刺し身料理には醤油・刺し身醤油・ポン酢が必ず三種皿で運ばれ、わさびと生姜、紅葉おろしを筆頭に薬味も充実し、美味しく食べられる提案だけしてあとはお好みで。
「魚は天然のみ。今朝釣り上げられた魚しか刺し身は出さない」とうたっているからこそ、台風シーズンは海が荒れて魚が捕れないため営業が大変らしい(笑)。その日の仕入れによって内容が変わる刺し盛りが常連客を飽きさせない。この日はハガツオ・マグロ・鯛・タコ・アジ・鯨のさえずり・ゴマサバ等が並んだ。

魚の種類と状態によって煮付けの濃さと味付けを調整


どの魚も肉厚が素晴らしいが、生魚でなくともTocTocは満足させてくれるのがポイント。
生魚が苦手というお連れの方がいる事も少なくは無いので、そんな方でも満足できるように味付けを何度も試して完成したのだ。

今回はアカムツの煮付けを注文。身離れが良く、味が染み渡る絶品料理だ。
煮汁をご飯にかけて食べたくなるほど、いつまでもススッていたい煮付けだ。
港から近いということもあり、漁師さんの常連も多く、「この一匹は大きすぎるから箱に入りきれなかった」という鮮魚が差し入れで持ち込まれることもしばしば。中には素性を隠して通い詰め、数年経った頃に漁師であることを明かした常連客もいたそうだ。プロが満足できる刺し身や魚料理が出されることもTocTocの凄さと言えよう。

常連客が必ず注文するエビクリームコロッケ


常連客が必ず注文するのはカラッと揚がったエビクリームコロッケ(2尾880円)。
エビの殻等をすり潰した成分が混ざった特製ソースをたっぷりつけて召し上がって欲しい。サクッと頬張れば中からトロッとクリームが溢れ出てきてエビがゴロゴロ入っているのも嬉しい一品。

コースにしか存在しないメニュー


注文する時に優柔不断になりそうならば電話予約の時点でコースを注文するのが良いだろう。
名店故に、コースの中でしか出していない料理も見逃せない。今回食べさせてもらったアラカルトメニューに存在しない芋餅。コロッケの中から芋と餅が出てくるという斬新なメニュー。芋の種類はその時々で変わるそうだ。

従業員が作り出す空気感がお見事!

奥座敷は掘りごたつで15名収容。個室も小窓ぶち抜きタイプのテーブル席最大16名利用可。その使い勝手の良さと絶品料理で多くの有名人から予約が入るが、従業員は決して取り乱さないスタイルを貫き、当然サインや写真をおねだりすることも無い。あくまでお食事を美味しく楽しく過ごす時間にしてもらうおもてなし。その空気感が常連客にも伝わり、お客さんがはしゃいで声をかけることもない。見事な空気作りだ。
魚好きなら一度は立ち寄って欲しい名店。必ず電話予約をしてから向かうべし!
『TocToc 港店』 
定休日 月曜日
福岡県福岡市中央区港2丁目11-2
092-741-5232

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この記事を書いたひと

加藤淳也(カト淳)

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ラジオパーソナリティー&リポーター&時々テレビ(笑)出演し、麺と音楽と野球と映画を探求するのが趣味の中年期おじさん。子供の頃から番組を編集したり文字におこして分析しながら観ていた変わり者。