PageTopButton

明日へつなぐ言葉

年の離れた姉がいるせいか、昔から年上の人といると不思議と心が落ち着く。人生経験豊かな先輩方の何気ない一言に、これまで何度も救われてきた。先月取材したすし店でも、そんな人生の先輩に出会った。カウンターで手際よく仕込みをしていた61歳の女性だ。話を聞くと、60歳までは北九州市の百貨店の婦人下着売り場で店長を務め、雇用延長の話もあったという。それでも、あえて未知の「すし」の世界へ飛び込んだ。

 

きっかけは、体調を崩す友人が増えたことだった。「食」で力になれたらと薬膳を学び始め、たどり着いたのがすし職人の道。


61歳で弟子入りし、今も北九州市から福岡市内のすし店へ毎日通いながら、修業を続けている。「子育ても介護も乗り越え、今が一番充実しています」と穏やかに笑う姿が印象的だった。そんな彼女の背中を押したのは、百貨店時代に出会った80代の常連客の一言だったそうだ。「50代なんてまだまだ赤ちゃん。いろんなことに挑戦しないともったいないわよ」。英会話のテキストを片手に店へ通うその女性自身が挑戦を楽しんでいたという。年齢は関係なく挑戦する気持ちこそが、人生を決めていくのかもしれない。いつか私も、何気ない会話の中でも「あなたの言葉に救われた」と言ってもらえるような存在になりたい。


8月1日(土)毎日新聞掲載

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

池尻 和佳子

RKBアナウンサー

instagram

出身地:福岡県北九州市 誕生日:7月13日 趣味・特技 ドライブ・旅行・スキューバダイビング

担当番組

テレビ

池尻和佳子のトコワカ

ラジオ

連続ラジオドラマ ~シアワセの高取家~

ラジオ

おしゃべり本棚