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夫婦円満の秘訣は「マイナス1歳からのイクカジ」にあった!?

佐賀県は、妊娠中の妻がいる男性をターゲットとした「マイナス1歳からのイクカジ」を推進している。妻の妊娠期(マイナス1歳期)を迎えた夫の育児や家事に参加する意識改革に取組んでいるのだという。一体どんな取組みか。担当者に詳しく話を聞いてみた。

佐賀県が取り組む「マイナス1歳からのイクカジ推進事業」とは!?

そもそも「イクカジ」ってどんな取り組み?

もっと多くの人々に「佐賀で子育てしたい!」と思ってもらえるように、佐賀県では、出会い・結婚から妊娠・出産、子育てまで、各ライフステージに応じて切れ目のない支援を行う「子育てし大県“さが”プロジェクト」に取り組んでいる。

2015年からスタートしたこのプロジェクトでは、現在までに約70事業を展開。「マイナス一歳からのイクカジ推進事業」もその一環だ。

子育てし大県“さが”HP:https://saga-kosodate.jp/
「マイナス1歳からのイクカジ推進事業」とは、妊娠が判明した夫婦や、これからパパとなる男性の意識改革を促す事業だ。いちばんの特徴は、妻の妊娠期から夫の家事・育児への参加を促すこと。

子どもが生まれる前の時期から、夫婦で家事や育児の取り組み方について考える機会を設け、「子育ては夫婦が協力して初めて成立すること」だという意識を広めていくために佐賀県で企画された。

夫が家事をするほど夫婦関係が良好に!?

佐賀県は、妻の妊娠期(マイナス1歳期)を迎えた夫に育児や家事の取り組み方を見直すきっかけづくりを進めてきた。「夫婦が協力して家事・育児に取り組むことの大切さ」を広めるためだ。

妻が心身ともに大変な時期を迎えているこの時期に、夫が積極的に家事や育児に取り組み、相談相手になるなど、妻にどれだけ寄り添うことができるかによって、夫婦関係は大きく変わるのだという。

(株)東レ経営研究所の渥美由喜氏によると、下のグラフのように、夫に注がれる妻の愛情は、妊娠から出産の期間に急激に低下。その後、二極化し、夫が家事に積極的なほど、妻からの愛情は回復する傾向にあると言われている。

夫婦の絆が深まる?佐賀県版両親学級“

2022年1月には「佐賀県版両親学級」と題したイベントが開催された。助産師の指導のもとパパの妊婦体験や夫婦で沐浴体験を行うワークショップ、夫婦間の「上手な家事シェア」をテーマにしたセミナーに約50組の夫婦が参加した。セミナーに参加した夫婦の声を聞かせてもらった。
【参加者からの声】(一部を紹介します) 「妊婦体験を通じて、普段の生活でさえ大変だと実感した」(32歳男性)
「妊婦の大変さを理解してもらってよかった。不安が解消された」(27歳女性)
「歩くのがきついことは当たり前だと思っていたが、大変さを再認識し、夫婦で考えを共有できた。初めての妊娠で不安だったが、セミナーがあってよかった」(妊娠9カ月の女性)

Webで公開中!佐賀県版父子手帳&YouTube動画!

さらに佐賀県では、産前産後の女性への配慮や父親の育児参加のメリットを男性向けに紹介する佐賀県版父子手帳「SAGA PAPA ポケットブック」や、家事は夫婦で協力して行うものという「共家事」の考えをテーマにしたYouTube動画をWebで公開している。

Webで公開中!佐賀県版父子手帳&YouTube動画!

さらに佐賀県では、産前産後の女性への配慮や父親の育児参加のメリットを男性向けに紹介する佐賀県版父子手帳「SAGA PAPA ポケットブック」や、家事は夫婦で協力して行うものという「共家事」の考えをテーマにしたYouTube動画をWebで公開している。

「マイナス1歳からのイクカジ推進事業」担当者の思い

「マイナス1歳からのイクカジ推進事業」担当者の思い

「マイナス1歳からのイクカジ推進事業」を担当する佐賀県男女参画・女性の活躍推進課の古川さんは「妊娠や出産といった体の変化がない男性は、父親になる実感がわきづらいが、男性も妻の妊娠期(マイナス1歳期)から育児がスタートしているということを自覚して、子育ての準備に取り組んでほしい」と話す。

「夫婦関係はどちらかが我慢している状態が続くと関係性はマイナスに転じてしまう。そうならないためにも、家事や育児について話し合い、協力の大切さに気づくきっかけをつくることが重要ですね。妊娠をきっかけに、良好なパートナーシップについて積極的に考えてもらえたら」と、佐賀県男女参画・女性の活躍推進課・園田係長が続けた。

互いに協力して、やりがいや責任をシェアする。性別に応じた役割分担ではなく、「仕事も育児も男女が同じように楽しむために」とする姿勢は、SDGsの基本的な考えにもつながっている。

楽しさや責任感、やりがいをシェアできる社会へ

取得率100%! パパの育休を促す「ハッピー・ツー・ウィークス」制度

「マイナス1歳からのイクカジ推進事業」を担当する佐賀県男女参画・女性の活躍推進課の古川さんは「妊娠や出産といった体の変化がない男性は、父親になる実感がわきづらいが、男性も妻の妊娠期(マイナス1歳期)から育児がスタートしているということを自覚して、子育ての準備に取り組んでほしい」と話す。

「夫婦関係はどちらかが我慢している状態が続くと関係性はマイナスに転じてしまう。そうならないためにも、家事や育児について話し合い、協力の大切さに気づくきっかけをつくることが重要ですね。妊娠をきっかけに、良好なパートナーシップについて積極的に考えてもらえたら」と、佐賀県男女参画・女性の活躍推進課・園田係長が続けた。

互いに協力して、やりがいや責任をシェアする。性別に応じた役割分担ではなく、「仕事も育児も男女が同じように楽しむために」とする姿勢は、SDGsの基本的な考えにもつながっている。
佐賀県庁内で注目すべき取り組みのひとつに、2021年10月からスタートした「ハッピー・ツー・ウィークス」がある。子どもが生まれた男性職員に、有給休暇や育児休業などの既存の制度を活用して、育児のために2週間以上の休みをとってもらうこの制度。

導入開始後、佐賀県庁では子どもが生まれた男性職員の2週間以上の休暇の取得率が、2020年の33%から100%に。夫婦一緒の子育ては、もはや「当たり前」になったと言える。

ユニークなのは、「取得することを当たり前に」するため、子どもが生まれた男性職員が休みを取得しない場合に、所属長から「不取得理由書」の提出を求める制度にしたこと。「取得しないことを例外に」という逆転の発想だ。

所属長は業務の割り振りを見直すなど、職員が休みを取れるような配慮を行ったかどうか問われることにもなり、所属長を含めた職員の意識を深めることで、休みが取得しやすい環境づくりを進めている。

さらに今年は、改正育児・介護休業法により10月1日から施行された「産後パパ育休」(出生時育児休業)の運用が全国でスタート。対象期間は「子の出生後8週間以内」で、取得可能日数は「4週間(28日)まで」。

2023年3月末まで特別相談窓口を開設している佐賀労働局では、2022年4月から9月までで、育児・介護休業法に関する相談を382件(うち、10月からの法改正にかかる相談は122件)受け付けた。

4月の法改正で企業側からの育休等の制度説明と取得の意向確認が義務化されたことは大きく、被雇用者・雇用者ともに育休取得を前提とした具体的な相談が中心とのこと。「育休取得のための仕組みが整備され、相談しやすい環境ができた。育休取得を考える人の背中を押す制度となっているのでは」と、佐賀労働局雇用環境・均等室の平川指導官は話す。

取得率100%! パパの育休を促す「ハッピー・ツー・ウィークス」制度

佐賀県庁内で注目すべき取り組みのひとつに、2021年10月からスタートした「ハッピー・ツー・ウィークス」がある。子どもが生まれた男性職員に、有給休暇や育児休業などの既存の制度を活用して、育児のために2週間以上の休みをとってもらうこの制度。

導入開始後、佐賀県庁では子どもが生まれた男性職員の2週間以上の休暇の取得率が、2020年の33%から100%に。夫婦一緒の子育ては、もはや「当たり前」になったと言える。

ユニークなのは、「取得することを当たり前に」するため、子どもが生まれた男性職員が休みを取得しない場合に、所属長から「不取得理由書」の提出を求める制度にしたこと。「取得しないことを例外に」という逆転の発想だ。

所属長は業務の割り振りを見直すなど、職員が休みを取れるような配慮を行ったかどうか問われることにもなり、所属長を含めた職員の意識を深めることで、休みが取得しやすい環境づくりを進めている。

さらに今年は、改正育児・介護休業法により10月1日から施行された「産後パパ育休」(出生時育児休業)の運用が全国でスタート。対象期間は「子の出生後8週間以内」で、取得可能日数は「4週間(28日)まで」。

2023年3月末まで特別相談窓口を開設している佐賀労働局では、2022年4月から9月までで、育児・介護休業法に関する相談を382件(うち、10月からの法改正にかかる相談は122件)受け付けた。

4月の法改正で企業側からの育休等の制度説明と取得の意向確認が義務化されたことは大きく、被雇用者・雇用者ともに育休取得を前提とした具体的な相談が中心とのこと。「育休取得のための仕組みが整備され、相談しやすい環境ができた。育休取得を考える人の背中を押す制度となっているのでは」と、佐賀労働局雇用環境・均等室の平川指導官は話す。

「マイナス1歳からのイクカジ」は今後何を目指すのか?

「マイナス1歳からのイクカジ」は今後何を目指すのか?

男女参画・女性の活躍推進課・園田係長はこのように語る。

「県の子育てイベントやセミナーに参加する方は、もともと育児や家事に対して積極的な人が多い。そうでない人に対しても意識の変革を促していきたい。『とるだけ育休』の問題や、妻の方から『とらなくていいよ』と取得を退けるケースもある。

取得率などの数字だけを追うのではなく、本質的に理解し合えることが大切。さまざまな家族のかたちがあり、価値観、意見がある。家族や職場と話しあいながら、多様なあり方を認めていければ」

男女参画・女性の活躍推進課の古川さんも「育休を取得しても業務を継続できる体制をつくり、男性が育休取得しやすくなることで、企業イメージの向上や人材の獲得につながりそうです。仕事も子育ても、一人じゃなくてチームで。そんな考えが当たり前になるよう、さまざまな取り組みを進めていきたいと考えています」と続ける。

佐賀県が推進する「マイナス1歳からのイクカジ推進事業」。家事・育児で不安や悩みを抱えている方がいれば、ぜひ参考にしていただきたい。当事者でない場合も、家事や育児について考えるきっかけとなるのではないだろうか。
男女参画・女性の活躍推進課・園田係長はこのように語る。

「県の子育てイベントやセミナーに参加する方は、もともと育児や家事に対して積極的な人が多い。そうでない人に対しても意識の変革を促していきたい。『とるだけ育休』の問題や、妻の方から『とらなくていいよ』と取得を退けるケースもある。

取得率などの数字だけを追うのではなく、本質的に理解し合えることが大切。さまざまな家族のかたちがあり、価値観、意見がある。家族や職場と話しあいながら、多様なあり方を認めていければ」

男女参画・女性の活躍推進課の古川さんも「育休を取得しても業務を継続できる体制をつくり、男性が育休取得しやすくなることで、企業イメージの向上や人材の獲得につながりそうです。仕事も子育ても、一人じゃなくてチームで。そんな考えが当たり前になるよう、さまざまな取り組みを進めていきたいと考えています」と続ける。

佐賀県が推進する「マイナス1歳からのイクカジ推進事業」。家事・育児で不安や悩みを抱えている方がいれば、ぜひ参考にしていただきたい。当事者でない場合も、家事や育児について考えるきっかけとなるのではないだろうか。

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