水曜日がやってきました。博多にわかを楽しんでいるよなおし堂としては、とても大切な曜日です。
今週も、博多にわか振興会相談役の志木らん梅さんにおつきあいいただいて、「老舗旅館社長、会見。自ら湯を入れ替えないよう指示」というお題に挑戦します。
仲谷一志が作りました。
「あんた、うちの温泉街の老舗温泉旅館がくさ。週に一回以上せないかんとぃ、お湯の入れ替えば、年に二回しかしとらんかったげな。
そらぁ自分の指示やったて昨日、社長が会見しよったばい」
「あー、見た見た。酷か会見やったね。『レジオネラ菌な大した菌じゃなか』やら『塩素の臭いが自分の体質ぃ合わんで好かんやった』やらお客さん無視の身勝手な話ばしよった。これじゃぁ、この温泉街が、いい加減なことばしよるて思われて真面目ぃお客さんの事ば考えとる旅館も風評被害ぃおうてしまうばい。コロナ対策が、緩和されて旅行支援もあってこれからていうとぃ、悔しか！」
「いいや、こげな事ぃ負けたらいかん。元々、ここぁよかお湯の温泉。この出来事ば逆手ぃ取って、逆ぃ、この温泉街の他の旅館なきちんと検査してもろうとるけん安心安全。それ
どころか、全国ぃ名前の広がっとる今、大きかキャンペーンば打ったら、返ってお客さんの
増えるかも分からん」
「そうたい！負けんで頑張るばい！もう、お客さんが増えるつもりで準備ばするばい！そうたい、先ずぁ客室ば、増やさなならん。１００がよかろうか、５００がよかろうか？」
「そらぁ、お客が増える温泉旅館やけん、１０００室（泉質)がよか」
志岐らん梅さんの採点です。
風刺：3.5/4 構成：3/3 オチ：3/3 計9.5/10
講評
風刺、自分の思いの部分では「真面目な旅館が風評被害に遭うので悔しい」「こんなことに負けてほしくない」「負けないで頑張ろう」などエールをおくる優しい気持ちが全面に出て聞く側まで元気になります。このような内容なので博多にわか独特の風刺、皮肉は入れにくいのですが４点満点にするには必須になります。冒頭の「週に一回以上のお湯の入れ替えば、年に二回しかしとらんかったげな」のあとに「あたきん方でちゃ、一ヶ月ぃ一回ぁしよるばい」が入るとよかったと思います。「週に一回の入れ替えが条例の規定」の風刺、皮肉になります。
これが「毎日、入れ替えばしよる」と表現すると事実の話になり、風刺、皮肉ではなくなります。
構成では起承転結でまとめられています。社長の記者会見があったが「起」。ほかの旅館も風評被害に遭ってしまうが「承」。対策として客室を増やそうが「転」。そして、１０００室に増やそうが「結」となり、見事に締められています。
オチは温泉に関連した「泉質」を入れたことにより、一貫したストーリーになっています。ただし、オチの前の表現で客室は「１００がいいか、５００がいいか」という質問になっています。近くの数値を並べた方が自然です。また、オチの言葉が「１０００室」なので、数値にも「室」は付けた方がいいです。ぎりぎりまで聞く側にオチのヒントは投げかけた方がいいです。この場合、「５００室か６００室がよかな？」でいいと思います。
オチの表現ですが原作は「客室ぁ１００がよかろうか？５００がよかろうか？」の質問で「お客が増える温泉旅館やけん、泉質（千室）がよか」になっていました。質問は客室の数を問っているので「千室（泉質）がよか」になります。また、「５００か６００」の質問なら「千」の表現も「１０００」とした方がいいと思います。「５００室やら６００室じゃつまらん。その温泉旅館なら、１０００室（泉質）がよか」でいいと思います。
博多弁ですが「そりゃ」は博多にわかでは「そらぁ」と言います。
それから、冒頭の「あんた」は博多にわかでも使います。相手のことをすべて「ああた」とは言うわけではありません。「ああた」は相手に対するていねいな言い方です。今の日常生活では「あんた」は同格かそれ以下の人たちに言っています。長老に聞いた話ですが博多にわかの言う「あんた」は同格または、少しだけ目上の人たちに対しても使うそうです。
高得点が出ました！
おしまいに志岐らん梅さんのお手本にわかです。
「老舗旅館の社長さんもし。ああたぁレジオネラ菌に対する認識の甘かったて言いよんなる。ああた自身も平気で毎日２～３回ぁ風呂ぃ入りよったげなね。だいたい、それも公私混同じゃなかな。大浴場ぁ、ああたの所有物かも知れんばって、そらぁお客さんのためのもんじゃろう。経営者としてのモラルのなかなぁ。それから、ちゃんと塩素ば入れて消毒ばする。そして、それば正確ぃ報告するていう法律ば守るていうコンプライアンスもなか。だいたい、レジオネラ菌で亡くなる人たちが年間に５０～７０人ぐらいおらっしゃぁとばい。こんくらいの知識ぁ前から、なかったとな？」
「はい。前から、その知識ぁ、なかったとです」
「そしたら、そらぁ、いつ頃、知ったとな？」
「はい。だいたいが、この病原菌のことじゃけん、最近（細菌）」
今週も、博多にわか振興会相談役の志木らん梅さんにおつきあいいただいて、「老舗旅館社長、会見。自ら湯を入れ替えないよう指示」というお題に挑戦します。
仲谷一志が作りました。
「あんた、うちの温泉街の老舗温泉旅館がくさ。週に一回以上せないかんとぃ、お湯の入れ替えば、年に二回しかしとらんかったげな。
そらぁ自分の指示やったて昨日、社長が会見しよったばい」
「あー、見た見た。酷か会見やったね。『レジオネラ菌な大した菌じゃなか』やら『塩素の臭いが自分の体質ぃ合わんで好かんやった』やらお客さん無視の身勝手な話ばしよった。これじゃぁ、この温泉街が、いい加減なことばしよるて思われて真面目ぃお客さんの事ば考えとる旅館も風評被害ぃおうてしまうばい。コロナ対策が、緩和されて旅行支援もあってこれからていうとぃ、悔しか！」
「いいや、こげな事ぃ負けたらいかん。元々、ここぁよかお湯の温泉。この出来事ば逆手ぃ取って、逆ぃ、この温泉街の他の旅館なきちんと検査してもろうとるけん安心安全。それ
どころか、全国ぃ名前の広がっとる今、大きかキャンペーンば打ったら、返ってお客さんの
増えるかも分からん」
「そうたい！負けんで頑張るばい！もう、お客さんが増えるつもりで準備ばするばい！そうたい、先ずぁ客室ば、増やさなならん。１００がよかろうか、５００がよかろうか？」
「そらぁ、お客が増える温泉旅館やけん、１０００室（泉質)がよか」
志岐らん梅さんの採点です。
風刺：3.5/4 構成：3/3 オチ：3/3 計9.5/10
講評
風刺、自分の思いの部分では「真面目な旅館が風評被害に遭うので悔しい」「こんなことに負けてほしくない」「負けないで頑張ろう」などエールをおくる優しい気持ちが全面に出て聞く側まで元気になります。このような内容なので博多にわか独特の風刺、皮肉は入れにくいのですが４点満点にするには必須になります。冒頭の「週に一回以上のお湯の入れ替えば、年に二回しかしとらんかったげな」のあとに「あたきん方でちゃ、一ヶ月ぃ一回ぁしよるばい」が入るとよかったと思います。「週に一回の入れ替えが条例の規定」の風刺、皮肉になります。
これが「毎日、入れ替えばしよる」と表現すると事実の話になり、風刺、皮肉ではなくなります。
構成では起承転結でまとめられています。社長の記者会見があったが「起」。ほかの旅館も風評被害に遭ってしまうが「承」。対策として客室を増やそうが「転」。そして、１０００室に増やそうが「結」となり、見事に締められています。
オチは温泉に関連した「泉質」を入れたことにより、一貫したストーリーになっています。ただし、オチの前の表現で客室は「１００がいいか、５００がいいか」という質問になっています。近くの数値を並べた方が自然です。また、オチの言葉が「１０００室」なので、数値にも「室」は付けた方がいいです。ぎりぎりまで聞く側にオチのヒントは投げかけた方がいいです。この場合、「５００室か６００室がよかな？」でいいと思います。
オチの表現ですが原作は「客室ぁ１００がよかろうか？５００がよかろうか？」の質問で「お客が増える温泉旅館やけん、泉質（千室）がよか」になっていました。質問は客室の数を問っているので「千室（泉質）がよか」になります。また、「５００か６００」の質問なら「千」の表現も「１０００」とした方がいいと思います。「５００室やら６００室じゃつまらん。その温泉旅館なら、１０００室（泉質）がよか」でいいと思います。
博多弁ですが「そりゃ」は博多にわかでは「そらぁ」と言います。
それから、冒頭の「あんた」は博多にわかでも使います。相手のことをすべて「ああた」とは言うわけではありません。「ああた」は相手に対するていねいな言い方です。今の日常生活では「あんた」は同格かそれ以下の人たちに言っています。長老に聞いた話ですが博多にわかの言う「あんた」は同格または、少しだけ目上の人たちに対しても使うそうです。
高得点が出ました！
おしまいに志岐らん梅さんのお手本にわかです。
「老舗旅館の社長さんもし。ああたぁレジオネラ菌に対する認識の甘かったて言いよんなる。ああた自身も平気で毎日２～３回ぁ風呂ぃ入りよったげなね。だいたい、それも公私混同じゃなかな。大浴場ぁ、ああたの所有物かも知れんばって、そらぁお客さんのためのもんじゃろう。経営者としてのモラルのなかなぁ。それから、ちゃんと塩素ば入れて消毒ばする。そして、それば正確ぃ報告するていう法律ば守るていうコンプライアンスもなか。だいたい、レジオネラ菌で亡くなる人たちが年間に５０～７０人ぐらいおらっしゃぁとばい。こんくらいの知識ぁ前から、なかったとな？」
「はい。前から、その知識ぁ、なかったとです」
「そしたら、そらぁ、いつ頃、知ったとな？」
「はい。だいたいが、この病原菌のことじゃけん、最近（細菌）」
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