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古代を学び、未来へつなぐ ~万葉学者・上野誠~

2019年第6回
制作:RKB毎日放送
ディレクター:大村 由紀子

福岡市出身の万葉学者、上野誠(58)。奈良大学文学部で教授を務める。
こども時代、上野の実家は福岡市の中心部、呉服町で洋品店を構えていた。
博多祇園山笠にも締め込み姿で参加し、大勢の人たちの中で揉まれて育った。
ホトトギス派の俳人でもあった母、繁子は、息子の大学入学に寄せて、「一流に すこしはずれて 入学す」 と詠んだ。商売人らしい気風の良さとユーモアに溢れた気質を、上野は受け継ぐ。聞き手を引き込む話術で万葉集を読み解く上野の講演依頼はひっきりなしだ。奈良大学で毎年、夏休みに開かれるスクーリングには、全国から上野ファンが押しかける。
上野の故郷、福岡はかつて、大宰府が置かれたところ。大宰府は九州を統括し、大陸との交渉窓口となる西日本の拠点だった。生を受けた朝倉市は、百済救済のために筑紫へやってきた斉明天皇(594-661)が崩御した地である。2018年9月、朝倉市では、上野が参画して日韓交流のイベントが行われた。上野が書いた額田王の朗読劇を演じたのは、女優、松坂慶子。上野と共に、日本と韓国で公演を重ね、文化交流を続けている。
母校、福岡大学附属大濠高校では、後輩の生徒たちに、遣新羅使の歌をテーマに授業をする。新羅との関係が難しかった天平の時代に、その国へ向かった人たちが、妻への気持ちを吐露した歌の数々。1300年の時を越えて、生徒たちは当時、同じ地にいた人々と歌を通して、心通わせた。
大陸交流の入口、福岡にルーツを持ち、万葉集を読み解きながら、「8世紀を生きた人びとの考えを知り、今を生きる私たちの指針としたい。」という気鋭の万葉学者、上野誠の魅力に迫る。

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