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和解を求めて~諫早湾干拓 閉め切りから21年~

2018年第8回
制作:NBC長崎放送
ディレクター:内野大輔

 総工費2500億円の巨大公共事業が地域にもたらしたのは、住民同士の対立と行政への不信だった。国営諫早湾干拓事業、湾の閉め切りから21年が過ぎた今も混乱は治まっていない。
 事業で造成された干拓地で農業を営む松尾公春さんは、排水門の開門差し止めを求める営農者として裁判に参加していた。しかし国に開門を禁じる判決が出されると行政の態度は一変したという。農地のリース契約を巡り県との関係が悪化した松尾さんは、昨年度末での契約解除を通知された。「農家は開門を阻止するための使い捨てにされた」と憤りを隠さない。
 一方、開門を求める漁業者も行政、そして司法に対する失望を深めている。島原市の漁師、中田猶喜さんは8年前、開門の確定判決を勝ち取った原告の一人。しかし国は今も開門の義務を果たさない上、裁判所も開門判決を否定するような考えを示しており、もはや裁判での解決はできないと考えている。
 国と司法に翻弄されてきた営農者と漁業者。かつて対立の構図にあった両者がいま、少しずつ歩み寄りを始めた。湾の閉め切りから21年、諫早湾干拓問題は新たな展開を迎えている。

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