6月はRKB70周年を記念して「カラフルマンス」を展開しています。
SDGsシリーズ、今回は3番目の目標「すべての人に健康と福祉を」です。
福岡県那珂川市の病院をデザインした女性は、ある思いを胸に設計に取り組みました。
待合室の床に大きく描かれた車椅子のマーク。
専用のスペースが、6台分設けられています。
ソファーには、杖を取り付けることができる器具が設置されるなど、体に障害がある人や高齢者も利用しやすいデザインになっています。
福岡県那珂川市にある「ちくし那珂川病院」です。
この病院のデザインを手がけたのは、福岡市在住のフラワーデザイナー、今橋玲子さんです。今橋さん自身も、車いすの利用者です。
インタビュー
生花店の家に生まれた今橋さん。
現代的なデザインに、和のテイストを盛り込む手法が評価され、2005年にフラワーデザイナーの世界大会で、日本人で初めて最優秀賞を受賞しました。
ところが、その4年後、脳内出血で倒れ左半身にまひが残ったのです。
この時の入院生活をきっかけに、芸術で患者の心を癒す「ホスピタルアート」に取り組んできましたが、2019年に再び脳内出血で右半身がまひ。
以後、車いすでの生活を余儀なくされています。
インタビュー
絶望の中、もう一度フラワーデザインに携わりたいと、懸命なリハビリを続けた今橋さん。
入院や通院が続く中、ある思いがこみ上げてきました。
インタビュー
障害がある人は、どんな病院が利用しやすいのか。
当事者になってみて、初めて気づいた疑問を、親交があった「ちくし那珂川病院」の関係者にぶつけたところ、「移転先に建てる病院のデザインを任せたい」との返事がありました。
インタビュー
しびれが残り腕を満足に使えない中、空間デザインについて本やインターネットで学びながら、約3年にわたりひたすら設計図を書き続けました。
インタビュー
そして・・・。
今年3月、ちくし那珂川病院は移転先での開院を迎えました。
インタビュー
院内に目をやると、まず飛び込んでくるのは、那珂川市の象徴でもある3つの川の水しぶきをイメージしたという水玉模様です。
診察室までの動線で、目線が低い車いす利用者が見やすいよう工夫されています。
そして今橋さんが最もこだわったのが、入院患者が家族などと面会するデイルームです。
自身の経験から入院時は気分が沈みがちだと、椅子やテーブル、花を明るい色であわせ、リラックスできる空間に仕上げました。
インタビュー
車いす利用者や患者の視点を、デザインに込めた今橋さん。誰もが安心して外出できるような社会になればと考えています。
インタビュー
今橋さん「こういったデザインが広がっていけばうれしい」
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう