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描き続けて、100歳~画家野見山暁治~

暮らし
2021年第20回
制作:RKB毎日放送
ディレクター:里山 千恵美

福岡県飯塚市出身の画家・野見山暁治(のみやまぎょうじ)さん。現在100歳。東京練馬のアトリエで独り暮らしを続けながら、今も筆をとる毎日だ。

野見山さんの絵は、いわゆる抽象画。そのスケールと、独特の世界観が見るものを圧倒するが、その筆は、年を重ねるごとに過激さを増している、と言われている。また野見山さんは文筆の方でも知られ、画家としての鋭い観察眼と透徹したヒューマニズムをベースに描き出される人物や時事、その巧みな文章のファンも多い。

福岡の炭鉱町で幼少期を送った野見山さん。荒々しい活気に満ちた炭鉱町の風景と、そこに生きる人々の姿は、野見山さんの原風景となる。東京美術学校(現東京芸術大学)に入学。1943年、繰り上げ卒業して召集され、兵隊となって満州の前線に送られたが病気のために日本へ送還。福岡の療養所で終戦を迎えた野見山さんは、戦後、戦争で命を落とした学友たちの遺族を訪ね、その絵を集める活動を行った。そうして集められた戦没画学生たちの絵は、現在長野の美術館「無言館」で展示されている。自らの戦争体験と、そうした学友たちの絵をたどった経験は、野見山さんの心に深く刻まれた。

12年間をフランスで暮らした野見山さん。九州の片田舎から、東京の美術学校へ。戦争を経験し、さらにはパリへ。そんな多様な変転を経験した野見山さん。100歳を迎え、なお飽くことなくキャンバスに向かい続ける野見山さんの今と、その思いに触れたい。

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