PageTopButton

伝統、紡ぐ~御城(うぐすく)の漆職人~

2021年第22回
制作:RBC琉球放送
ディレクター:上里 弘美

森田哲也(もりたてつや)さん。地元・滋賀県から脱サラして沖縄へ移住。漆の世界へ飛び込んで15年目の中堅職人だ。
森田さんは2006年に行われた大規模な漆の塗り替え作業に携わった。このとき29歳、職人1年目。右も左もわからない森田さんは首里城で先輩職人から「生きた技術」を学んだ。以来、これまで行われてきた首里城の定期的な漆の塗り直し作業に携わっている。

「首里城があったから自分はここまで漆をやってこれた」

だからこそ、漆を次の世代につなげたい気持ちは人一倍強い。これが原動力となり、ことし、森田さんは新たな工房「漆芸舎伍(しつげいしゃ・ご)」を立ち上げた。伍では、日常生活で漆を身近に感じてもらえるよう、住宅の壁やランプシェードなどの現代建築やインテリアを扱う。共同代表は島袋亜希子(しまぶくろあきこ)さん。彼女もまた、漆業界の雇用を生みたいという思いを持つ職人の1人だ。

沖縄が琉球王国だった時代、東アジアの人々や文化が行きかうハブ的役割を担っていたように、漆と人、人と人がつながる場所をつくりたい。伍には2人のそんな思いが込められている。漆の可能性を切り開きながら伝統を次の世代へつなぐ、彼らが体現する新たな伝統継承のあり方を追った。

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう