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ピアノ表現力革命

ピアノには、演奏会などで使用されるグランドピアノと、主に練習用として使われる箱型のアップライトピアノの2種類がある。多くの場合、比較的安価で設置スペースをとらないアップライトピアノで始めるのが一般的だ。

しかし、どちらも同じ「ピアノ」だが、構造上、グランドピアノでしかできない表現がある。このため、普段アップライトピアノで練習している子どもが、発表会のグランドピアノで思うように演奏できなかったり、演奏そのものを諦めたりといった場面が生じていた。 この状況を打破しようと、鹿児島県薩摩川内市のピアノ店「藤井ピアノサービス」の藤井幸光社長が考案したのが、アップライトピアノでグランドピアノのような表現を可能にする装置「グランフィール」だ。装置自体は簡単な仕組みのため、ピアノの調律師が研修を受ければ装着・調整をすることが可能なすぐれもの。すでに全国各地に多くの認定技術者が存在している。

今後、アップライトピアノのスタンダードとなる可能性を秘めた「グランフィール」には、ピアノの本場・ドイツの老舗メーカーも興味を示し始めている。楽器の性能で、表現をあきらめないでほしい。最高のピアノの音を目指し、藤井さんはきょうも開発を続けている。
取材先
会社名:藤井ピアノサービス
担当者:藤井幸光
住所:鹿児島県薩摩川内市西向田町15-11
電話:0996-25-3320
HP:http://www.fujiipianoservice.jp/ その他:グランフィールは全国各地のピアノ専門店等でも取り扱っています。

取材後記

藤井さんは、よく喋る人だ。グランフィールの存在を知り、番組で取り上げさせてほしいとあいさつに伺ったとき、30分位で終わるつもりが結局2時間近くショールームに居座ってしまった。照れくさいのかプライベートのことはあまり話してくれないが、ピアノ、特にグランフィールの話になるともう止まらない。それくらい、グランフィール技術に自信を持っていらっしゃるのだろう。

番組では、主に「連打性能」からグランフィール機能の特長を描いたが、鍵盤の重さや、弾いたときの音質もグランドピアノと変わらなくなる。その違いは、ピアノに関しては素人の私でもわかるくらい。このレベルに達するまでに、何度も試行錯誤したことだろう。実際、番組にも登場いただいた名取孝浩さんと一緒に工房に入り、寝食を忘れて改良に取り組んだこともあるという。

既存のアップライトピアノに取り付ける「グランフィール機能」は、国際特許も取得しひとつの到達点に達している。一方、レディメイドの「グランフィールピアノ」はまだまだ発展途上だ。ハンマーひとうひとつに小さなバネが取り付けられているのはもちろんのこと、ハンマーの形を流線型にしたり、ペダルの機能もグランドピアノと同じにしたりと、藤井さんの考える様々な工夫がぎゅっと詰め込まれている。

グランドピアノの音に追いつき、いずれは追い越したいという藤井さん。いつの日か「数百万円するグランドピアノより良い音を出せるピアノ」について、とどまることなく喋る藤井さんに会えることを楽しみにしている。

担当:MBC南日本放送 永野志郎

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