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復活!平成の種山石工

熊本地震で壊れた石橋を江戸時代から受け継ぐ技術で修復作業にあたる石工たちがいる。
江戸時代後期、肥後の種山村(現在の八代市東陽村)には、当時日本で最高水準の石橋築造技術を誇る石工集団がいた。彼らは「種山石工」と呼ばれ、九州を中心に数多くの美しい石橋を架けた。2016年の熊本地震では県内の石橋の約1/3は何らかの損害を受けたがアーチが壊れた橋はひとつも無く、技術の高さが改めて認識された。

石工集団を率いるのは熊本県山都町で工務店を営む尾上一哉さん。
今彼らが修復しているのは御船町にある下鶴橋。石と石がずれるのを防ぐ為に、接着の役目をする「ダボ石」を作り、石を密着させていく。 日本最大級の石造りアーチ水路橋、山都町の通潤橋も地震で損害があった石橋。
修復は水漏れした部分を消石灰と水を混ぜた漆喰で塗り固めていく
。 尾上建設がある山都町では震災を機に「石橋サミット」が開催され、資料の収集も進んでいる。尾上さんが主宰する石工講座も7年前から希望者を募り、全国から集まった石工を養成。

震災後は受講生が三倍に増え、県外からの参加者も石橋の修復に参加するなど、石工の技術が広がりをみせている。
■取材先
会社名:株式会社 尾上建設
担当者:熊本さん
住所:熊本県上益城郡山都町千滝222-1
電話:0967-72-0134
HP:http://www.ogami.co.jp

取材後記

山都町の通潤橋は小学生の頃、社会科見学旅行で行った記憶がある場所でした。豪快な放水に感動した覚えがあります。
今回の取材で地元の方に話を伺ったところ、水路橋としての役割はもちろんですが、毎日見る景色の一部、散歩する場所であり、存在することが当たり前だったそうです。

地震で傷ついた姿を見た時は心のよりどころを無くしてしまったような気持ちにもなったとおっしゃっていました。
1日でも早い復旧が期待されていますが、現在修復の様子を見ることができる見学所が設けられています。通潤橋の構造を実際に見ることができるのはこの時期だけの貴重な機会です。

御船町の下鶴橋は長さ70メートルほどの山あいに架かる橋。石工の橋本勘五郎の晩年の作品で装飾が美しいといわれています。
この橋も地元の方に愛されている橋で、特に橋のそばにある桜が咲いた時は一際美しい姿を見ることができます。
修復の際、石工の方たちは木を傷つけないように、とても気遣っていらっしゃいました。
平成30年度の石橋技術者養成講座の受講生は来月26日まで募集しています。 http://www.ogami.co.jp/acts/

担当:RKK熊本放送 内藤郁美

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