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ジョブ型社員とは?日本型雇用を見直す企業の「ずるい」理由

ジョブ型社員とは?日本型雇用を見直す企業の「ずるい」理由

「日立、全社員をジョブ型に」-日本経済新聞1月10日朝刊1面トップ記事の見出しだ。あなたは、自分が「何型社員」なのか知っているだろうか?RKBラジオ『櫻井浩二インサイト』で明治大学経済学部の飯田泰之准教授に聞いた。

 

飯田泰之・明治大学准教授(以下、飯田):ジョブ型社員の対義語は、メンバーシップ型社員といい、日本人になじみが深い働き方です。入社時に、すでに何かの技能を持っているというわけではなく、会社の中でローテーションしていき、その社員の得意分野を見つけてスキルを身につけていくという方法です。

 

櫻井浩二アナウンサー(以下、櫻井):いわゆる総合職ということですね。

 

飯田:そうです。それに対し「ジョブディスクリプション」の略であるジョブ型は、仕事の内容を明確にしています。労働者がどんな経験をしてきたのか、資格を持っているのか、大学の専攻は何だったのかを重視します。この2つの基準をかけ合わせてあらかじめ「この仕事をする人を雇います」という採用活動をすることになります。メンバーシップ型の場合は、何をする、という規定なく雇われているため、会社の都合で部署の異動、転勤が発生してしまいます。一方ジョブ型は、誰が何をするのか明確で、欠員時は社内で公募することがほとんどです。

 

櫻井:2つの働き方、随分違うんですね。

 

飯田:どちらの方が良い、というものではありません。それぞれメリットとデメリットがあります。ジョブ型雇用に移行すると、企業側としては解雇しやすくなります。解雇というのには一定の合理的な理由が必要でした。メンバーシップ型では配置転換すればよいですが、ジョブ型の場合はその技能を必要とする職業が社内になくなったら、雇う必要もなくなります。この「辞めやすくなる」というのは重要なポイントなんです。転職市場に挑みやすくなるからです。ただ、メンバーシップ型の方が若年層にはメリットがあります。ジョブ型に移行すると、新卒のような未経験者の場合、働けるポストがなく、厳しい状況になってしまいます。

 

櫻井:経験が積まれていないからですね。

 

飯田:ヨーロッパでは「エントリーレベルジョブ」と呼ばれる制度があり、技能や資格を必要としない職種に就きながら、無休のインターンシップを活用してジョブスクリプションに書ける技能を獲得していく仕組みがあります。

 

櫻井:それもハードルが高いですね。

 

飯田:ですから、ジョブ型を採用している国では若者の失業率が高いという傾向があります。しかし、転職時は次の職を見つけやすい。それに比べて、メンバーシップ型の方が失業率は低いものの、転職の時に苦労するという特徴があります。現在の日本では大企業を中心にジョブ型での採用を検討し始めていますが、それにはある「ずるい」理由があるんです。

 

櫻井:ずるい?

 

飯田:日本全体がメンバーシップ型主流である中、人事異動をいくつか経て、学び終わった人を他社から連れてくる、ということを目論んでいるんです。いわゆる「引き抜き」ですね。ただ、これを多くのがやってしまうと、新入社員の教育はどうするのかという問題があります。社会全体がジョブ型中心になってしまったときに、誰がその教育を担うのかという新たな問題が出てくると思います。

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2022.01.27
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