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~華道家が珍重!長崎水仙~

長崎市の南に伸びる長崎半島。その先端にある野母崎地区の海沿いは、1月真っ白に染まる。斜面に1千万本の日本水仙が咲き誇るのだ。対馬海流に面した野母崎地区は年間の平均気温が16度を越える温暖な気候。山々には日本水仙が自生し、地区の農家は花の栽培が珍しかった戦前から水仙を作ってきた。

生産量は全国3位。長崎水仙の名で西日本を中心に出荷されている。なかでも生け花用に作られた一級品は日本一の質と称される。水仙では珍しい65センチ以上の丈、真っすぐ伸びた立ち姿、花数も多い。華道家のなかには「まさに水の仙女のような美しさ」と絶賛し、長崎水仙しか使わない人もいる根強い人気だ。

生産するのは長崎西彼農協野母崎花き部会のメンバー。会長の山口邦俊さん77才は、生け花用水仙の美しさを追求している。8月猛暑の中から始まった栽培に密着。長崎水仙のブランドを守るため、細心の注意を払いながら1本1本を丁寧に育てる.生産者のこだわりを伝える。
■取材先
団体:JA長崎せいひ三和支店
住所:長崎県長崎市川原町251番地
電話:095-892-0008

団体:のもざき水仙まつり実行委員会
住所:長崎市野母町568-1
電話:095-893-1111

取材後記

冬になると道端でよく見かける水仙。生け花用につくられた長崎水仙を初めてみたときは驚きました。まるでネギのように太い!公園などに咲く水仙の2倍はあろうかという長さ!水仙には、可憐というイメージがありますが、その姿は立派です。どうやって育てているのだろうか?去年8月、取材を始めました。球根を植え付けた後は、ハウス内をできるだけ涼しく保ち、はやく発芽するよう管理しなくてはいけません。

しかし去年の夏は記録的な猛暑。山口さんは例年より多く水をかけて対応しましたが「良い花をつけるか分からない」と不安の声を漏らしていました。ハウスの風通しを良くしたり、水やりの頻度を増やしたり、山口さんの苦労が実って、秋に無事発芽。「良かった」と喜んだのは束の間、生け花用に仕上げるためには、ここからが勝負です。葉を曲げないように、泥を落とし、熟練の感で日光の当て方をかえ、手塩にかけて育てていました。「まっすぐピシャッと立った水仙じゃないと生け花の先生達が困る」というのが山口さんの口癖。11月末、立派に育った水仙を「可愛い」と言って刈り取っていました。

愛情たっぷりに育てられた長崎水仙は、華道家によって様々な姿に生まれ変わりました。山口さんは生けられた姿を見たことが無いそうなので、番組を見て初めて手塩にかけた水仙の晴れ姿を見ることができたのではないでしょうか。
担当:NBC長崎放送 岩本彩

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