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扉が導いた人生 ~「ゆりかご」に預けられて~

2023年第3回
制作:RKK熊本放送
ディレクター:後生川 凜

親が育てられない子どもを匿名でも預かる「こうのとりのゆりかご」。その運用を巡って全国的にも注目を浴びた「ゆりかご」は、開設から16年目を迎える。

「扉の絵を覚えているんです。」これは熊本市に住む宮津航一さんの幼少期の記憶だ。16年前、航一さんは、ゆりかごに預け入れられた。航一さんは、その事実をずっと周囲に話せずにいたが、去年の春、顔も名前も隠さず自身の生い立ちを語ると決めた。自分の出自を探し続けた日々のこと、自分を受け入れてくれた養父母のこと、そして航一さんを生んだ母親はいま・・・。日本の社会へ、そして同じ境遇の子どもたちへ、メッセージを送り続けた航一さんの1年を追った。

一方、ゆりかごを運用する熊本市の慈恵病院にも、変化が訪れていた。4年前から、病院だけに身元を明かし子どもを産む「内密出産」の運用を始めた。ゆりかごに子どもを預け入れる親たちが、危険な状態で出産する前に救出の手を差し伸べたいという思いからだ。ゆりかごをめぐる16年で、国を含む行政に大きな動きはなかったが、去年この内密出産の初めての事例が確認されたことで、事態は大きく動く。熊本から始まった小さな命を救う取り組みは、新たなステージへと進む。

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