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性被害を告白した元ジャニーズJr.橋田康「未来が良くなるために」

ジャニーズ事務所の故・ジャニー喜多川前社長による性加害を告発したカウアン・オカモトさんとともに、国会内で「国対ヒアリング」で証言をした、元ジャニーズJr.のダンサーで俳優の橋田康さんが5月19日、RKBラジオ『仲谷一志・下田文代のよなおし堂』に電話出演し、単独インタビューに応じた。

「未来が良くなるために」

仲谷一志(以下、仲谷):今回のタイミングで顔を出して実名で被害を告白した理由は?

橋田康さん(以下、橋田):(ジャニーズ)事務所を辞めたあとも僕は舞台やミュージカルといったエンターテインメントの世界で生きてきてました。それがいま落ち着いていて、(上演)作品に迷惑がかからない今なら「何かを変えるために走り出してもいいタイミングなのでは」と思ったのが一番の理由です。僕の行動のせいで、作品に傷がついたり、上演できなくなったりするのは怖かったので。

仲谷:そこまで配慮しながら、勇気を持って今回告白しました。周りの反応はどうでしたか?

橋田:賛否両論といいますか、否定的な意見もたくさんあります。

下田文代(以下、下田):性被害を受けて、それを自分の心の中だけに留めておいた十数年間、心や体に影響はありませんでしたか?

橋田:僕は周りにすごく恵まれていたと思います。エンターテインメントの世界で活動を続けたことは、僕にとっては大きな支えになっていました。

仲谷:先日、国会で一緒にヒアリングを受けたカウアン・オカモトさんは体調を崩して休養しました。

橋田:誹謗中傷や否定的な意見で、僕自身も想像以上に苦しい思いをしていて、正直つらいです。彼が休養したことも「そりゃそうなるだろう」と感じています。

仲谷:どんな意見が来るんですか?

橋田:ジャニーズ事務所で頑張って活躍している人たちは、必ずしも被害に遭った方だけではないと思うし、僕以上に苦しい思いをしていても「ほっといてくれ」って思う方も中にはいると思うんです。応援しているファンの方たちも「余計なことをしないでくれ」っていう方もやっぱりたくさんいると思います。僕自身、最初に声を上げるときに、覚悟というか、いろんな人を傷つけて、困らせてしまうだろうなとは思いました。でも、やっぱり「未来が良くなるために」っていう気持ちで声を上げさせてもらいました。

エンタメの世界も社会全体も変わっていくべきタイミング

仲谷:かなり前に裁判所も性被害を事実と認定していたのに、この問題を報道機関が取り上げてきませんでした。このことに関してはどう感じていますか?

橋田:僕が活動していた期間もそうですけど、ジャニーズ事務所って本当にすごい影響力を持っていて、忖度する力が働いていたんだと思います。実際にジャニーズ事務所が何かをしたとか、そういうことではなく「悪い報道をしたら、もう付き合ってもらえないんじゃないか」と想像して…という忖度は必ずあったと思うんです。でも、今こういう向き合い方を始めたわけで、もうこういう忖度が働かないようなエンタメの世界になっていけたらと思っています。ジャニーズ事務所という、影響力のある会社でそういうことがなくなっていけば、おのずといろんなところでもなくなっていくんじゃないかなとも思います。僕ひとりの力では動かせるとは思っていませんが、きっかけの一つになれたらなとは思っています。

仲谷:藤島ジュリー景子社長の謝罪動画と書面を見たときにはどんなふうに感じましたか?

橋田:モヤモヤとした感じは、多分僕だけじゃなく(いろんな人が)感じたとは思うんですけど、ただこれまでジャニーさん、メリーさんが一切、表に出てこない、謎に包まれた会社というイメージだったのが、トップが出てきて頭を下げるっていう状況になって、すごく衝撃的でした。「それだけのことが起きてるんだ」っていうことも含めて、いろいろ再確認できましたね。

下田:これからこういう被害を出さないために求めたいことは?

橋田:(この問題に)向き合い始めて、変わっていくべきタイミングだと僕も思います。「悪いことは悪い」「違うことは違う」ってその場で都度都度きちんと向き合えることがすごく重要。「今までがこうだった、すいませんでした」という(過去の問題にする)のではなく、こういうことがあったからこそ、小さいことでもしっかり向き合っていけば、必ず良い方向に変わっていくと思います。それは法律の整備もそうだし、環境づくりもそうだと思います。そういうことの積み重ねで、変わっていけるんじゃないかなって思っています。

リスナーの88%「忖度がなくなるとは思わない」

この日、番組では「あなたは今後、マスメディアが大手芸能事務所や政権与党に対して、忖度がなくなると思うか、それとも思わないか」の2択アンケートをTwitterと放送でリスナーに問いかけた。結果は「なくなる」が12%、「なくならない」が88%。

「結局テレビ局は民間企業なので、視聴率を上げるためには何でもやるのではないか」「報道しない、というより、隠蔽のお手伝いをしていたみたい」といった意見が寄せられ、番組内で紹介した。

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