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水揚げ96%減!漁師もため息の「スルメイカ不足」天ぷらチェーンが“塩辛”を制限へ

スルメイカの水揚げが年々減り、その余波が広がっています。農水省の統計によると、ピークだった1968年に約67万トンあった水揚げは昨シーズン約3万トンに。実に96%も減っているのです。スルメイカを大量に仕入れて「塩辛」を提供する天ぷらチェーンは、6月1日から無料の塩辛を1人1皿に制限します。漁獲量がこのまま回復しなければ、有料化も検討しています。


◆北日本で水揚げが多いスルメイカ
福岡市と久山町に合わせて7店舗を展開する「天麩羅処ひらお」。定食でも1000円以下からの手頃な価格で揚げたての天ぷらを食べられることから、地元だけでなく県外から来る人にも人気です。同じく根強い人気があるのが、無料で提供されるイカの塩辛です。鮮度にこだわり、臭みが少ないそのおいしさから、お代わりをする人も少なくありません。しかしこの塩辛は6月1日からしばらくの間、1人1皿限りとなりお代わりができなくなります。理由は、原料となるイカの不足です。ひらおの塩辛に使われるのは主に北日本で水揚げが多いスルメイカ。大量に仕入れ、企業秘密の調味料やゆずと混ぜ合わせます。


◆今シーズンの漁に“命運”かかる
しかし、スルメイカの水揚げで知られる石川県の港では、昨シーズンの水揚げが、ピークだった2015年度の3分の1ほどに落ち込みました。漁獲量の減少に、船の燃料費の高騰が追い打ちをかけたほか、ウクライナ情勢の影響でロシアの近辺で漁ができないことも大きいといいます。ひらおは今後、漁獲量が回復しなければ、店内で提供する塩辛を有料にする可能性もあると話します。一方、店頭やインターネット上などで販売しているパック詰めの塩辛は「消費者の要望に応えたい」と原料がある限り製造を続ける方針です。今シーズンのスルメイカ漁は、6月1日以降、北海道南部から順次解禁されます。人気の塩辛がどうなるのか、これからの水揚げの行方に命運がかかっています。

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