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今年4月に国立成育医療センターが発表! 赤ちゃん早めのスキンケアが食物アレルギーを防ぐ

早めのスキンケアでアレルギー予防

子供の食物アレルギーは年々増加していて、乳児のおよそ10%が発症していると言われています。かつての予防策はアレルギーの原因になりやすい食べ物を除去することが一般的でしたが、実は赤ちゃんのころからのスキンケアが重要だということが分かってきました。
今年4月に国立成育医療センターが発表した研究結果によると、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対して湿疹があるところにのみステロイド薬を使うよりも、早くから湿疹がないところにもステロイド薬を使って積極的に治療したほうが、卵アレルギーの発症を25%も減らせたそうです。
なぜスキンケアがアレルギー予防につながるのでしょうか?

アレルギーとスキンケアの関連性

福岡市西区の皮膚科で今年5月に開催された「赤ちゃんのお肌の相談会」。生後1月から1歳の乳児とその母親が参加しました。
皮膚科専門医師の高松紘子(たかまつひろこ)医師が伝えたのは「アレルギーとスキンケアの関連性」です。

近年のアレルギーの発症原因として皮膚からのアレルゲン侵入に着目されています。ガサガサした肌の表面からいろいろな微生物やバイ菌、化学物質が入ってしまうと言われ、食物が付きやすい部分は特にツルツルにすることが大切です。
乳児期は顔や手足がカサカサしたりかゆみを伴う湿疹ができたり、なにかと肌トラブルが多いとき。こうした炎症がある皮膚は角層が薄く、すき間だらけで正常であれば跳ね返せるアレルギー原因物質が皮膚から入り込みやすくなります。このアレルギー原因物質がアレルギーを引き起こす免疫細胞と接触することでアレルギー発症のきっかけになります。

そんな中、早い段階で皮膚を積極的に治療して炎症をなくすことで食物アレルギーの発症を減らせると、今年4月国立成育医療研究センターが発表しました。
いまや日本人の2人に1人は何らかのアレルギー疾患にかかっているとされる時代。
「昔は食べ物が腸管から入って食物アレルギーになると思われていましたが、皮膚表面のバリア機能(コーティング力)が落ちているとそこからアレルギーの原因物質が入ってくると言われています。薬を使ってでも炎症は抑えたほうがよく、アレルギーが獲得される前に予防することができます。」と高松医師は言います。
保湿など、赤ちゃんのスキンケアの開始時期は早ければ早いほうがよく、かさつきや湿疹などの炎症が出た場合は薬を使った治療に切り替えて、良くなったり悪くなったりを繰り返す状態から良い状態を2、3年保てるまで継続します。

薬を長く使用する中で副作用が出ないように近年取り入れられるようになっているのが、『プロアクティブ療法』です。見た目に症状はなくても潜在的に炎症が残っている皮膚に対してステロイド薬や抗炎症薬、保湿剤などをうまく調整しながら予防的に使用するものです。昔は悪くなった時だけに使用していた薬ですが、それだと(再発をして)ザラザラが続き、強い薬をずっと使わないといけなくなります。一旦よくなった後に優しい薬でキープするということが大切です。

3人の子供を育てる福岡市在住の古藤有佐子(ことうあさこ)さん。6歳の娘さんが早くにアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを発症し、寝るときに痒がったり、集中力がなくなったりする姿を見てきました。
早めのスキンケアで食物アレルギーも出にくくなるということを育児雑誌で知り、生後10か月の楽(がく)くんは、湿疹がでた生後1か月から肌の治療を続けています。
現在、継続的な治療で子供たちの肌トラブルはかなり落ち着いていて今のところ楽くんは食物アレルギーを発症していないということです。

食物アレルギーの発症を減らす早めからのスキンケア。今後起こりうるさまざまなアレルギーの発症も減らせるかもしれないと期待されています。
「肌をツルツルにしてアトピーがスタートしなければ、アレルギーの悩みを少しでも防げるのでは。」と高松医師。保湿のスキンケアをして何らかの炎症がある場合は早めの皮膚科受診をおススメします。

食物アレルギーの新しい対策

特定の食べ物を除去してもあまり意味がないことが分かってきたことで、これまで常識だと思われていた食物アレルギーへの対応も変わりつつあります。

新たな対策は
〇食物除去は必要最低限に
〇離乳食を遅らせない
〇早くからのスキンケア
いろいろな食べ物を摂取することで免疫ができ、アレルギー反応を緩やかにするのでは、という報告もあるそうです。

そして、肌トラブルを起こさないように日頃から行える基本的なスキンケアについては
『清潔』『保湿』『紫外線予防』の3点。
〇清潔…”角がたつくらいの泡”で包み込むように素手でやさしく洗うこと。
〇保湿…保湿剤はお風呂上り5分以内と、朝の着替えの時の1日2回。肌がぴかっと光る程度に塗りましょう。
〇紫外線予防…SPF30・PA++以上の日焼け止めを選んで塗る前に保湿ケアを忘れないこと。

自宅で保湿ケアなどをしていても、赤ちゃんや子供の肌にカサカサした部分や湿疹など、いつもと違う症状を見つけたら皮膚科を受診して早めの治療を始めることが大切ですね。

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