居場所のない若者たちが16歳以上で“半数”に…「見てほしい。気づいてほしい」内心の声はどこまで届いている?
地域のつながりの希薄化や児童虐待、不登校の増加、価値観の多様化など子供や若者を取り巻く環境が大きく変化するとともにひとりひとりが安全で安心して過ごせる「居場所」の重要性も増してきています。この「居場所」づくりに取り組む福岡の民間団体を取材しました。
家や学校を離れると“居場所”がなくなる若者たち
福岡市中心部にある警固公園です。毎月第4土曜日の夜、若者たちが集まる場所があります。
RKB奥田千里「若者たちが楽しんでいるのは腕相撲です。白熱の試合が繰り広げられています」
「腕大学」と名付けられたこの場所。運営するのは、非行や引きこもりなど問題を抱える子供や若者を支援するNPO法人「SFD21JAPAN」の理事長小野本道治さんです。小野本さんは、「居場所」がないと感じている子供や若者に出会うためおよそ10年前からこの「腕大学」を開催しています。
小野本理事長「昔はみんな神社の土俵で集まって、そこで知らない子たちが、一緒に遊んでいた。でも今はないんですよね。今さら土俵を作るということも厳しいので、アームレスリングなら集まるのかなと思って。人を集めるツールの一つですね」
地域のつながりの希薄化や児童虐待、不登校の増加、価値観の多様化など子供や若者を取り巻く環境が大きく変化するとともにひとりひとりが安全で安心して過ごせる「居場所」の重要性が増してきています。こども家庭庁が今年の夏に実施した子供と若者を対象としたアンケートによると15歳以下の3割以上が家や学校以外に「居場所」がないと回答。16歳以上では、「居場所」がないとの答えが半数近くにまで達しています。小野本さんたちが進めているのは「腕大学」などの活動を通して知り合った子供や若者への「居場所」作りです。
福岡市西区にある小野本さんの自宅です。「腕相撲」の練習をするための場所が設けられています。ここに集まる子供や若者の「居場所」です。
腕相撲をする18歳の藤田蒼人さん。中学1年の時、「腕大学」で小野本さんと出会いました。
藤田さん「最初の方はただ遊びに行くみたいな感じだったんですけど、最近いろいろあって関わりがどんどん深くなって・・・」
1年半前まで少年院で生活をしていた藤田さん。更生教育を終え、社会に戻りましたが自分にとっての「居場所」はありませんでした。
藤田さん「少年院から出てきてすぐのときに、まあどこにも行けなかったんですね。今まで悪いことをしてきたからどこにも行かせられないみたいな。SFDの団体があって、そこで息抜きができていたし楽しい場所でもあっていろんなことを学べる場所でもあり・・・何かあったときに一番頼れる場所ですね」
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この記事を書いたひと
奥田千里
2000年生まれ。福岡県北九州市出身。