「鉄の街」のシンボルが崩落の危機か 北九州市が調査へ3000万円を計上
近代製鉄発祥の地で「鉄の街」と呼ばれた福岡県の北九州市。そのシンボルとして保存されているのが、八幡東区の「東田第一高炉跡」です。この建物の劣化が進み崩落の危険性が高まっているとして、北九州市が本格的な調査に乗り出すことがわかりました。
稼働していた高炉の保存は日本唯一
稼働していた高炉が保存されている日本唯一の施設で、旅行会社などから公開に関する問い合わせも来ているということです。産業遺産の保存や活用について研究する専門家は、高炉を見学できる施設は世界でも限られているとしたうえで、地域が一体となった保存のあり方が望まれると指摘します。
熊本学園大学(産業技術史) 市原猛志 講師
「継続して100年200年というような計画を将来を見据えながら、資金をどういう風に確保していくか。そして地域のためにどのように生かしていくべきかということを考える必要性があるかなと思います」
北九州市が調査 保存方針を検討へ
東田第一高炉跡のすぐ近くには都市高速やJR鹿児島線、県道が通っていて、落下物による事故の発生も懸念されています。市の関係者によりますとこうした状況を受け北九州市は新年度予算案で東田第一高炉跡の老朽化対策の調査費などとして約3000万円を計上。ドローンによる外観の検査のほか、触診などを行って早急に状態を把握し、今後の保存方針を検討していくということです。
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この記事を書いたひと
今林隆史
1976年生まれ 福岡市出身 政治・経済などのニュース取材に加え、ドキュメンタリー番組の制作にも携わる。第58次南極観測隊に同行。JNNソウル特派員として韓国の大統領選挙(2022)などを取材。気象予報士・潜水士の資格を有し、環境問題や防災、水中考古学などをライフワークとして取材する。 番組「黒い樹氷~自然からの警告~」で科学技術映像祭 内閣総理大臣賞(2009)、「甦る元寇の船~神風の正体に迫る~」同映像祭 文部科学大臣賞(2013)など受賞。