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人食いバクテリア「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」 専門家に聞く予防法と治療法

致死率3割と言われる人食いバクテリア「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者が急激に増加しています。予防法はあるのでしょうか。専門家に聞きました。

去年の患者数は941人で過去最多

劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、30歳以上が感染しやすく、手足の壊死などを引き起こし、最悪の場合、死に至ることがあるとされています。今年1月から3月末までに全国で556人、福岡県で23人確認されています。

国立感染症研究所によりますと、患者数は2014年は200人程度でしたが、ここ10年ほどで急激に増加。去年は941人で過去最多でした。今年は過去最多だった去年を上回るペースで増加していて、前年同時期の2.8倍となっています。

初期症状による診断が難しい

福岡市医師会は3日の会見で、「少し多い傾向にある」として、突発的な高熱や全身の痛みなどの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してほしいと呼びかけました。

福岡市医師会 中山英樹常任理事
「抗生剤で即座に治療しないと、死亡率が高いと言われている」

福岡市医師会によると、劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、初期症状による診断が難しく、感染経路もまだ分かっていません。

「一般の元気な方もショックを起こします」

子供がかかりやすい「溶レン菌咽頭炎」と何が違うのか、感染症の専門医に話を聞きました。



 

北九州市立八幡病院 伊藤重彦名誉院長
「劇症型という名前がついているタイプは、半数以上は上気道からではなくて小さな傷とか外傷を経由して、血液や皮下組織、筋肉の中とか菌がいないような場所に侵入してから急激に発症する『敗血症』という形で広がって、治療が遅れると3~4割の致死率と思っていいです。糖尿病や腎不全など、免疫の低下がある人だけかというとそうではない。一般の元気な方もショックを起こします。」

治療法はあるのでしょうか。

北九州市立八幡病院 伊藤重彦名誉院長
「まずは『抗菌薬』の投与。もっとも効く薬を早期に投与することがひとつ。そして、変色したような皮膚の部分や炎症を起こしている部分は皮下組織を含めて切除する必要があります。

しっかり消毒する 早期に受診を

予防法はあるのでしょうか。

北九州市立八幡病院 伊藤重彦名誉院長
「劇症型は外傷を経由して、小さな傷から起こしてくる病気なので、ちょっとした怪我をした場合でも、『適当に水で洗っておけばいいよ』と思わずに、しっかり消毒する。もし疼痛がひどく続いて、そこに浮腫が出てきたり、色が変わってきたりしたら、自分の判断ではなく、早期に医療機関で判断してもらうことが大切です。新型コロナ感染症が5類引き下げられてからまもなく1年。コロナ禍の影響で人々の活動が抑えられていた分、いろいろな感染症が広がっていて、注意が必要です。

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