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“生きる鉄骨”をつなぐ技

2023年に開業した東京の新名所「麻布台ヒルズ(東京・港区)」や、熊本地震で損壊後、復元された「熊本城の天守閣」には共通して“ある企業”の高度な技術を備えた鉄骨が使われている。熊本県の中央、宇城市にある「永井製作所」は1957年に創業した鉄鋼材の加工・組立などを専門的に行う会社だ。

 

あらゆる建築物に適した高品質な鉄骨を製作できる、極めて高い技術力を有した工場だけに与えられる称号で、国内でわずか1%程度しか存在しない九州唯一の格付『Sグレード』を2017年に取得した。サッカーグラウンド3個分の工場には80台以上のクレーンが張り巡らされ、ここでつくられる「鉄骨」は製鉄所から仕入れた素材を寸法通り切り出しているものではない。

 

職人たちの手によってミリ単位の仕事が集約されている。製造工程の終盤を担う「組立班」と「溶接班」にフォーカスするとさらに“知られざる鉄骨づくり”が見えてくる。気候の違いや溶接の度合いによって微妙に異なる鉄の歪みとの戦いだ。そこで必要になってくるのは熟練の技術。さらに特許を取得した新工法も紹介。身近で増えている高層ビルはどんなモノづくりで生み出されるのか?“生きる鉄骨”をつなぐ技に迫る。

企業名:株式会社 永井製作所
代表者:永井 毅さん   ※対応窓口は上田 宗一さん
住 所:熊本県宇城市松橋町豊福2700番地
ホームページ:https://nagai-steel.co.jp/

取材後記

「真面目に鉄骨」。リサーチをする中で、このキャッチーな言葉に出合いました。これは、鉄骨メーカー「永井製作所」の企業スローガンです。鉄骨と言えば、今や、都市部の街並みを形づくる建物に欠かせないもの。しかも、今回、取材した九州唯一のSグレードを取得した「永井製作所」の鉄骨は、日本各地のランドマークの数々に使われています。鉄骨は身近だな、と感じても、実際には名前以上に知っていることはないなとも、同時に思いました。

 

このスローガンを掲げる会社では、どんなモノづくりをしているか、見てみたい!知りたい!そう、強く思い、取材の機会をもらいました。広々とした本社工場では、常に機械音が鳴り続け、技術者の皆さんのインタビューは、予想以上に苦労しました。でも、そのおかげか、至近距離で話を聞くことが多く、通常の取材よりも、早く親しくなれた気がしています。

 

大きなスケールの中の緻密さを知った今回の取材。紹介できたのは“鉄骨の世界”の、ほんの一部で、奥深いなと日増しに感じています。素人からしたら無機質の鉄ですが、職人たちは情熱を傾け、丁寧なモノづくりをしています。そんな人たちへの取材を通して、私も、少しだけ、鉄骨の表情が見えるようになりました。(とても、大げさに言っています)これから、街なかには、最新技術で建てられていく鉄骨造の高層ビルは益々増えていくことでしょう。

 

地震大国の日本では、厳しい建築基準法の中で、建築鉄骨はつくられ、建てられています。そんな、世界に誇る鉄骨を知ると、街なかで見かけた高層ビルに色々と想像しちゃいますね。建設に携わる人、完成後に訪れる人…あらゆる人への安全が一番のモットー。仕事はこの合言葉でスタートです。「ご安全に!」。“鉄骨の専門家集団”は、今日もあの工場で鉄骨を作っています!

 

(RKK熊本放送/藤本 聖子)

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