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【検証】「スタートアップ都市」宣言から10年 現状と課題~福岡市長選まで1か月

福岡市長選挙の投票日まで1か月を切りました。これまでに3人が立候補を表明しています。現職・高島市長が「天神ビッグバン」と並んで推し進めてきた政策が「創業支援」です。福岡市が「スタートアップ都市」を宣言して今年で10年、現状と課題を取材しました。

 

日本最大級の“スタートアップ”イベント

先週、福岡市で開かれた「B DASH CAMP」、日本最大級の“スタートアップ”イベントです。主催するのは、これまでスタートアップ企業に数百億円の投資を行ってきた企業です。
「B DASH VENTURES」渡辺洋行社長「次世代を担うスタートアップができている都市は、東京以外だとおそらく福岡がダントツに優れているんじゃないのかなと思っています」

2017年に「フクオカグロースネクスト」

2012年に「スタートアップ都市」を宣言した福岡市。2014年にグローバル創業・雇用創出特区に指定され、スタートアップ法人減税などの支援策を次々と打ち出しました。

そして、2017年に大名小学校の校舎を活用した「フクオカグロースネクスト」がオープンしました。気軽にコミュニケーションが取れるコワーキングスペースやオフィスを提供。税理士や司法書士などの専門家への相談は無料で、実証実験のサポートや企業同士をマッチングさせるイベントも定期的に開催しています。
スタートアップ企業「UPay」上官ゆい社長「サポートしてくれる団体や場所がたくさんあるのは、非常にチャレンジしやすい環境にあると思います」
今年5月末時点で「フクオカグロースネクスト」に入居している企業は198社、相談件数は年間3200件に上ります。

高島氏“福岡に入ってくるマネーをアピール”

高島宗一郎氏「資金調達の額も10年間で2億だったのが254億、ファンドの規模は98億ぐらいだったのが477億ということで、10年間で4倍近く増えてきました」
スタートアップ都市宣言から10年を記念したイベントでは、歴代のデジタル大臣がサプライズで登場、国との連携の強さをアピールしました。
河野太郎デジタル大臣「福岡市をこれからもデジタル庁の実験場に使わせていただく。いろいろプロジェクトが目白押しなので、高島市長とこれからもしっかり組んで頑張っていきたい」

注目される一方で課題も

チャレンジできる街として全国的に注目される福岡市ですが、課題もあります。
起業支援家 孫泰蔵氏「この10年福岡も伸びたし日本も数字で言うと伸びたんですけど、世界はそれ以上に伸びている。はっきり言って差が開いています。育成側、投資家のレベル、が開いている」
スタートアップ企業の数を比較する民間の調査によりますと、日本は24位で欧米諸国などに比べ起業意識が低いとされています。福岡市はこの10年間で、スタートアップの支援に約22億円を投じていますが、福岡市が起業から支援して新規で上場した企業は1社もありません。
田中慎介氏「この10年間のスタートアップ支援をしてきたその成果は何なのかと、それでこの市民の暮らしがどれだけ豊かになったのか、私は福岡市に対して再三お尋ねをしてきたけれども、具体的な成果を述べられることはなかった」

田中氏「働く人にもっと目を向けて下支え」

事実上の与野党一騎打ちの様相となっている今回の市長選。元市議会議員で新人の田中慎介氏は、これまでのスタートアップ政策について「一定の評価はする」とした上で、福岡市で働く人にもっと目を向けて下支えをしていくべきだと主張します。

福岡市がまとめた「経済概況」によりますと、福岡都市圏の開業率は2020年度、全国1位の7.2%ですが、その一方で廃業率は4.3%と名古屋市と同率で1位となっています。
田中慎介氏「跡継ぎがいない、後継者がいないということで、廃業をせざるを得ない。事業継承というのも私はスタートアップの範ちゅうに入ると思っていまして、そこの部分が今後、実は重要になってくる。これまでのスタートアップ支援のあり方がどうだったのか、徹底的に検証していきたい」
高島宗一郎氏「大体ね、挑戦してつまずく人のことを挑戦してない人が笑うんですよね。安全なところからスタートアップのことを『どうなのかな、うまくいってないんじゃないかな』って言うのは簡単ですけど、最後はこっちが笑うつもりで、これからもガンガン、チャレンジしていきたいと思います」

会社員の熊丸英治氏も立候補を表明

 
福岡市長選挙には、このほか会社員で新人の熊丸英治氏も立候補を表明しています。市長選は、11月6日に告示、20日に投票と開票が行われます。

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