袖すり合うも多生の縁|アナウンサーコラム

袖すり合うも多生の縁|アナウンサーコラム

春になり、生活が一変した。仕事では担当番組が変わり、家では次男が小学校に入学した。新しい旅立ちはよろこばしいけれど、別れのときはさまざまな思い出や感情とともに涙があふれる。保育園や職場など、同じ場所で同じ時間を過ごした「仲間」というのは、かけがえのないものだ。

ところで、同じ時間に通勤していると、その道中で出会う人々も完全なる他人とは言い切れないような気がしてくる。
歩く姿勢が美しい男性、後ろに子どもを乗せて一生懸命自転車をこぐお母さん、いつもお父さんと登校する小学生など、毎朝同じ場所ですれ違う人たち。交通安全のため丁字路に立つ男性からは「進め」「止まれ」の合図が送られてくるのだから、一種のコミュニケーションまで生まれている。みんな名前も知らないけれど、毎日同じ時間と同じ場所を共有している、という「仲間」のような気がするのだ。

今、日本の人口は約1億2600万人。世界の人口は78億人を超えている。人生で、どれくらいの人たちと出会ったり、道ですれ違ったり、新聞やテレビ・ラジオなどを通して見たり聞いたりするのだろう。

袖すり合うも多生の縁————だれもが毎日いろいろあるけれど、「今」という同じ時間に共に存在する「仲間」たちが、心おだやかに元気に毎日を過ごせますように。

5月7日(土)毎日新聞掲載



本庄麻里子
RKBアナウンサー。 神奈川県横浜市出身。

【担当番組】
テレビ:タダイマ!
ラジオ:おしゃべり本棚

金曜ドラマ『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』

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