先日たまたま入ったスーパーのBGMにジャズが流れていた。心地よく弾むピアノの音につられ、買う予定のなかった品物まで調子に乗ってついつい買い物かごに入れてしまった。
ＲＫＢラジオ木曜放送の「♯キューパレそよかぜましおの今夜は増し増し」をきっかけに、最近ジャズをよく聴くようになった。ジャズトランペットやピアノの演奏も披露するタレント、そよかぜましおさんがジャズアーティストについて熱く語るコーナーが毎週楽しみになり、仕事を終えた車での帰り道や、家で湯船につかりながら聴く音楽もジャズになった。一日の締めくくりに聴くジャズは全身の力がスッと抜け、次の日を気持ちよく迎えられる気がする。
実家でも父親が寝る前に、よくジャズを聴いていた。寝室にはレコードがぎっしりと並んでいて、父がレコードを選んでいる姿、針を落としている背中が好きだった。そんな父親の口癖は「わか、もっとスウィングしなくちゃ」だった。子供のころはどういう意味なのか、全く分からなかったが、最近では「感じるままに今を楽しめ」ということなのかな、と解釈している。
大人になってようやくジャズの心地よさが分かるようになった。今度、ジャズライブに父親を誘って一緒にスウィングしてみようと思う。
3月16日（土）毎日新聞掲載
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