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保護者の負担、先生の悲痛な訴え、子どもの権利…いま考える”部活”の問題

中学校・高校の部活を取り巻く状況を取材してみると保護者、そして指導者である学校の先生に大きな負担がのしかかっている状況が見えてきました。保護者の悩み、先生たちの悲痛な訴え、そして地域を巻き込んだ新しい取り組みなど現状と課題を取材しました。

視聴者が激白!保護者会の実態

タダイマ!公式ラインに寄せられた保護者からの声。一番多かったのが「保護者の送迎」。親の車だしで、もしも友達を乗せている時に事故にあったら責任はどうなるのか?など気を使うことも多いのが現状。
神野先生の所属する文部科学省の中央教育審議会でも現在「部活動問題」というのは絶賛審議中の問題ということで、まさに来年度以降、部活の問題を改革しないといけない時に来ていると言います。

「保護者会」に関してもたくさんのラインメッセージを頂きました。その中で代表して2人の男の子のお母さんAさんにお話しを伺いました。
Aさんは、息子たちを応援すべく、お弁当やお茶、そして対戦相手校への手土産を用意することさえ当たり前のように文句も言わずやっていました。
しかし、協力する親としない親などのイザコザが問題に。さらにほかの部活でも、1人の子が宿題を忘れたことに対して「連帯責任」ということで、全員で懲罰走をさせられた、という事例も。

神野先生は、連帯責任のような責任はそもそも大人になってからおう場面があるのか?ということを考えなければならないと。子供の一人ひとりの権利を見直すということは、教育の現場で見直されなければならない問題であると言います。

部活改革に向けた新たな取り組み

さらに、教育現場の先生の立場からは、悲痛な訴えをされる方も。運動部の顧問を38年間していて、週末もほとんど休みなし、という方。そして、先生のご家族からはワンオペ育児を強いられてきたという意見も。こうした先生たちの負担を減らす狙いもあり、いま中学校の部活が大きく変わろうとしています。

「休日の部活動の段階的な地域移行」…これは、部活動を学校から地域へと移行していこうという試みで、全国の公立中学校の一部ですでに始まっています。

福岡県三潴郡大木町にある大木中学校。地区の大会などでも過去に優秀な成績を収めている部活動が盛んな学校です。男子ソフトテニス部ではベテランの男性が部員たちの指導に当たっていました。
2年前まで教員としてテニス部の顧問をしていた岩﨑順一さんは定年退職後、地域の外部指導員としてテニス部の指導をしています。

文部科学省が主導する「休日の部活動の段階的な地域移行」その実践モデル校として昨年から取り組みを始めた大木中学校。土日のどちらか1日を地域の外部指導員が担当することで顧問の先生はその日は部活動から離れることが出来ます。家庭の時間や次の授業の準備など、先生にも余裕が生まれたと言います。
また、女子テニス部でも、顧問の先生が産休に入るために外部指導員が指導に当たることになっています。

人材確保に財源は?地域移行の課題

先生方にメリットが多い外部指導員制度ですが、実は去年1年目に就任した外部指導員はジュニアの指導員の方で、土日の1日だけではなく平日の指導もしてほしいという子供たちからの要望もありました。

部活の指導となると、土日1日だけで完結するのは難しく、熱心な指導者であればあるほど本業を犠牲にするしかないのが実情となります。そのため、去年の外部指導員は継続して指導することが出来なくなったそうです。

今年4月から指導員を引き継いだ岩﨑さんは、子供たちからの信頼も厚くほぼ毎日指導に来ており、結果的に平日はボランティアという形になっています。
岩﨑さんも外部指導員の人材をそろえるのはかなり難しいことではないか?と話します。外部指導員者としての謝礼金が出るのは原則土日のいずれか1日で、一回およそ2時間~3時間。待遇面の改善は急務で2年目に入った地域移行の試みはまだまだ課題も多いようです。

課題も多い部活の地域移行

地域移行の取り組みは保護者も関心が高いようで、「子供が入りたい部活がなくなってしまうのでは?」「部活自体が外部のクラブチームのようになるのでは?」「親が負担をするお金が増えるのも心配」などという声も上がっています。

この実践研究は宇美町でも行われており、宇美東中学校の井上校長は「サッカー部で実施しているが社会人の指導経験者が見つからず、現役大学生に委託していて、現在は授業などで月に1,2回程度の指導に留まっている。顧問の先生との連携が必須で、教師の業務軽減にはつながっていない」ということでした。

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