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ブランド蟹を守れ!快適個室カニハウス

大分県北部の国東半島に位置する豊後高田市香々地町。ここで水揚げされる“ワタリガニ”は、身が引き締まっていて上品な甘みを味わえることから“岬ガザミ”の名で特産品として知られる。

ところが近年、漁獲量が激減、ブランド存続の危機に陥っている。その原因は自然環境の変化などが考えられているが、はっきりしたことは分かっていない。そこで行政や漁業関係者らが協力し、養殖に取り組むことになった。しかし蟹は脱皮直後の軟らかい個体を共食いする習性があり、一般的な方法では養殖できない。

そこで豊後高田市内の金属加工品メーカー「中村機工」の中村寿志さん(76)に相談、「共食いするなら個室にすればいいのではないか」という考えから、個室状の養殖設備「カニハウス」を考案、実用化に向けて動き始めた。中村さんは長年ものづくりに携わった経験を活かしながら、メンテナンスの手軽さも考え、一般的なホームセンターで手に入る部品のみで作り上げた。

「まだ実験段階ですしどうなるか分かりませんが、特産品の岬ガザミが一層有名になればいいと思います。」と語る中村さんと、関係者の取り組みを追った。
会社:有限会社 中村機工
住所:大分県豊後高田市新地1670
電話:0978-24-0055
HP:nakamura-kikou.co.jp

取材後記

豊後高田市香々地のブランド蟹・岬ガザミ養殖に対するクラウドファンディング広告を
目にしたことが取材のきっかけでした。

自分が知っている養殖事業は「付加価値をつける」ものばかりで、「消さないため、残すための
養殖」は初めて知り、興味を持ったのです。実際の漁にも随行させていただきましたが、
海中から引き揚げるカニかごの大半が空っぽという現実を目の当たりにし、岬ガザミは文字通り
激減、食べられなくなる日が目前に迫っていると実感しました。

今回、小さな港町が官民挙げて
全国的にも珍しい「個室養殖」に挑んでいます。前例もデータもなく、これから試行錯誤しながら
安定供給を目指します。採算ベースに乗るまでにはまだまだ時間がかかりますが、
近年中止を余儀なくされている名物イベント「岬ガザミフェア」の再開も楽しみに待ちたいと思います。

(OBS大分放送 / 樋口昌平)

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