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海水と淡水の二刀流!?どこでも養殖

ビジネス
建物の一室に設置された生け簀で養殖されているのはクルマエビ。本来は海の中で育つ生き物だが中に入っている水は水道水だ。この養殖方法に取り組んでいるのは平山正さん(61)。元々はダンボールを業者のニーズに合わせた形に加工する会社の社長だが、それに留まらず頭の中に浮かぶ様々な発想で次々と新しい技術を生み出すアイデアマンでもある。その平山さんがいま力を入れているのがクルマエビやサーモンの「陸上養殖」だ。

通常海での養殖は赤潮被害や天候によって出荷が左右される問題などがあるが陸上養殖はこのような外的要因に影響されず自宅の庭や建物の一室など、どんな場所でも養殖することができる便利な方法だ。ポイントは水の中の塩分濃度。海水よりも薄いが真水ではない、それぞれの生き物の成長に適した塩分濃度を見つけ出し、その濃度に近づけるために塩を入れたり真水を入れたりして濃度を上げ下げするという画期的な技術だ。また、一方で平山のもう一つのこだわりはこの技術を低コストで実現させること。背景にはコロナ禍で困窮する飲食店経営者やその取引業者を救いたいという思いがあった。

陸上養殖の独自の技術と、それで育てた海産物のブランド化を目指す平山の取り組みを追う。
取材先:有限会社 ひらやま
担当者:代表取締役 平山正さん
住所:〒869-4202 熊本県八代市鏡町内田1543-1
電話:0965-52-5108
HP:https://www.kumamoto-hirayama.com/
 

取材後記

「クルマエビを淡水で育てている人がいる」と聞き、平山さんの会社にお邪魔したのは今年6月。ダンボールの加工工場でお話を伺おうとすると「キノコの菌床を作った」「農業用ビニールハウスのヒーターパネルを作った」など、クルマエビとは全く関係ない内容ばかり。

はじめは「飽き性だから開発したら人に譲るんだ」と言っていた平山さんだが、よくよく聞くとキノコの菌床は高齢化が進むシイタケ栽培農家のためとの事。またヒーターパネルは燃料の高騰に悩む農家が低コストでハウス内を加温できるようにと開発したそうだ。今回クローズアップした「どこでも養殖」も開発のきっかけはコロナ禍に苦しむ県外の飲食店を経営する友人から「空いている土地はあるので何かできないだろうか?」という相談からだった。

人助けのためなら儲けは別にして「まずはトライしようとする」平山さん。

取材を終える頃、トラウトサーモンの養殖いけすの上にはトマトの苗が水耕栽培されていた。「魚の排出物は植物の栄養になり水も浄化する」とのことで今後も実験を重ねていくということだった。平山さんの挑戦はこれからも人のために続いていきそうだ。

(RKK熊本放送 / 内藤郁美)

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