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「開ける喜び」世界へ!~箱メーカー3代目の挑戦~

うつわのまちとして知られる長崎県波佐見町に半世紀前創業した岩?紙器(いわさきしき)。 陶磁器出荷用の段ボール箱を主力商品としていましたが、10年ほど前、会社は陶磁器全般の出荷量が減るため注文も減少するという苦境にあえいでいました。そんな中、会社を継いだ3代目社長の岩?大貴(ひろたか)さん(37)と、 妻でデザイナーの裕子さん(38)が活路を見出したのが、「貼り箱」と呼ばれる紙製の包装箱。 デザインチームを立ち上げ、最新の3D設計ソフトを導入し、 他社が嫌がる複雑なデザインと、創業以来自慢の丁寧な手作業を武器に色や形、 用途が様々な貼り箱を作り始めたところ状況は一変。

地元のお店から世界的ブランドまでお得意さんが増え、たった10年で売り上げは倍増。 イギリス発の世界的な雑誌「モノクル」にまで「世界の志ある小売業TOP20」のうちの1つとして取り上げられるまでになりました。 そんな岩?紙器の次の目標は「脱・脇役」。中身を引き立てる箱から、それ自体が商品になる箱やインテリア雑貨の開発です。

新商品を携え向かったのは東京ビッグサイトでの巨大見本市。国内外のお客さんの反応は・・・「開ける喜び」を世界に届けようとする、長崎の企業の挑戦です。

<取材先データ>
会社名:岩?紙器
住所:〒859-3716 長崎県東彼杵郡波佐見町田ノ頭郷201-1
電話:0956-85-2127
FAX:0956-85-3603

ホームページ http://www.total-package.jp/
オンラインショップ http://www.akeru-project.jp/
フェイスブック

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取材後記

長崎県波佐見町はいま、とても勢いのある町です。
福岡など大都市圏で人気上昇中の波佐見焼はもちろん有名ですが、 窯元跡を活かしたカフェやギャラリー、移住者による芸術活動、 ご当地プロモーション映像などの情報発信といった 新たな取り組みがうまい形にからみあい魅力を高めています。

そんな波佐見で陶磁器をメインカルチャーとするなら、それ以外の いわば「サブカルチャー」の業種の人達も、とても元気だったのです。 今回ご紹介した岩?紙器については、波佐見焼関連の取材で その特徴的な社屋と商品に出会ったのが番組を作るきっかけでした。
見た目が複雑で楽しいというだけでなく、優しく繊細な作り。

工場を取材すると、お菓子や化粧品、贈答品といった様々な箱を 従業員の方々がひとつひとつ丁寧に丹念に作られているのが 彼らの表情からもよく分かりました。
箱は、単なる製品ではなく、贈り贈られる気持ちを最初につなぐもの。

「開ける時の感動を演出したい」という岩?社長の思いは 包装用の箱にとどまらず、オリジナルブランドとして立ち上げた 箱や袋、敷物といったインテリア雑貨にも同じように込められています。

そもそもは陶磁器運搬用のダンボール箱を作っていたところが 経営危機に直面し始めた化粧箱作り。今では世界の一流ブランドがお得意様です。 逆境にひるまずチャレンジする大切さや、ものづくりへの考え方を教わった気がします。

担当:NBC長崎放送 出口 淳

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