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野菜の“紙”が食を変える!?

紙のようで、紙じゃない。
長崎県平戸市の食品会社「アイル」が開発した「野菜シート」はこれまでの野菜の常識を覆す新しい食材だ。最大の特徴は原料がほぼ100%野菜という点。製造過程で食品添加物は一切加えず、独自の技術で野菜の栄養や風味を損なうことなく0.1ミリのシート状に加工することに成功した。

アイルの早田圭介社長が野菜シートの開発を始めたのは約20年前。その間は失敗の連続で、資金繰りの悪化から一時開発を中止したこともあった。それでも早田社長が完成を諦めなかったのは野菜シートが必ず世のためになる食材になるという確信があったからだ。

野菜シートの原料には規格外の野菜が使われている。これは仕入れコストを安く抑えるだけでなく、農家の所得安定にも役に立っているのだ。さらに高栄養かつ低カロリーで小麦などのアレルギー成分も入っていないため、子どもの離乳食や高齢者の介護食への利用も期待されている。 野菜シートは、アメリカやヨーロッパの展示会にも出展され高い評価を得ている。「野菜を食べない国は無い」と話す早田社長、国内はもちろん、海外市場をもターゲットに見すえた挑戦が始まった!
取材先
会社名:株式会社アイル
担当者:早田圭介(そうだ・けいすけ)社長
住所:長崎県平戸市田平町小手田免419-1
電話:0950-57-0808
HP:http://vegheet.com/ その他:・現在、野菜シートは業務用のみの販売。
一般販売は早ければ秋以降、「山形屋海苔店」のオンラインショップで販売予定。
(単独で小売販売できる体制が整っていないため、業者に販売を委託 )
*尚、賞味期限は常温で2年ほど
・木村アルミ箔の「野菜カップ」も現在は業務用のみの販売。
(参照:http://www.kimura-alumi.co.jp/wp/?page_id=1187)

取材後記

今回の取材ほど、テレビで味が伝えられないのを残念に思ったことはありません。食べてみないと分からない「野菜シート」の魅力。取材を重ねれば重ねるほど、食のプロである飲食業界の方々の反応に驚かされました。

私の貧困な発想では、シートをそのまま食べるか、せいぜいキャラ弁に使うぐらいしか思いつきませんでしたが、早田さんの営業力も相まって商品のバリエーションは取材中にもどんどん広がっていきました。巻き寿司にベジロール、弁当カップ、折り鶴の和菓子…すべて試食させてもらいましたが、どれも本当に美味しくて野菜シートの可能性を感じずにはいられませんでした。海外ではチーズやチョコとの組み合わせも「あり」らしく、組み合わせ次第で無限の可能性を秘めているといっても言い過ぎではない気がします。
開発中、何度も心折れかけたと話す早田さんですが、開発を止めようと思ったことは一度も無かったそうです。その理由を尋ねると、「人の役に立つ商品になる確信があったから」との答えが返ってきました。いままで誰も作ったことが無かった野菜シートが商品として成功しつつあるのは、早田さんのブレない信念があったからこそだと改めて感じました。

放送では出せませんでしたが、早田さんのインタビューで最も印象的だったのが「自分はマグロと一緒」という言葉でした。一生休むことなく泳ぎ続けるマグロ。早田さんもこの20年間、常に動き続けて野菜シートの開発に人生を捧げ、今は営業活動で国内外を奔走されています。販路を世界中に広げ、「20年後には1000億の売上を目指す」と豪語する早田さん。ディレクターとしても、一消費者としても、野菜シートが今後、私たちの食卓を彩ってくれることを期待せずにはいられません。

担当:NBC長崎放送  内野大輔

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