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「年は取っても女だから」需要高まる“介護美容”「ケアビューティスト」という仕事

「介護美容」。介護の現場で高齢者などに対して化粧や肌の手入れをするサービスです。年齢を重ねても「美しくいたい」という気持ちに応えるビジネスが今、注目されています。

老人ホームで活躍する「ケアビューティスト」


「じゃあ、ちょっと塗っていきますね」

福岡市早良区にある老人ホーム「アンペレーナ百道」で、入所者が受けているのは「フットトリートメント」です。血液の流れを良くするだけでなく、アロマの香りでリラックス効果もあるそうです。

施術を受けた入所者「効果はわからないけど、気分的にはいいですよね」

高齢者や介護を必要とする人を対象とした「介護美容」。従事するのは「ケアビューティスト」と呼ばれる人たちです。通常の美容サービスと異なり、コミュニケーションの取り方や化粧品選びなど、さまざまな配慮が必要となります。

ケアビューティスト 佐藤まどかさん「皮膚が弱い方も多いので、使う化粧品やケアの材料にも気をつけて、事前に疾患などもうかがってから施術しています」
 

「気持ちが明るくなる」利用者に変化が


施術を受けることで、見た目だけでなく、認知症の症状緩和や気持ちが明るくなるなどの変化が現れてくるといいます。

ケアビューティスト 佐藤まどかさん「普段はあまり話さない方が、フットケアや足の爪のケアなどを受けて、『リハビリによく行くようになった』と施設の方からも言われたり、ちょっとお散歩に出るきっかけになったり」

ケアビューティスト育成の専門学校も開校


このようなケアビューティストを育成する専門学校が、2022年に福岡市に開校しました。

「ご利用者様の変化を、特に見ておいてあげて……」

「介護美容研究所福岡校」には現在約100人が通っていて、中には介護や看護の経験がある人もいます。

専門学校で学ぶ看護師「患者さんのメイクを撮ってあげた時に、すごくうれしそうな顔をされて。看護師の経験と自分の好きな美容の知識を生かしてお仕事ができたら素敵だなと」

専門学校生が実習を体験


学校では、高齢者への美容ケアの施し方や、介護の基礎知識などについて教えています。また、介護施設での現場実習も行っています。この日は、福岡市早良区の「サンシャインセンター」に向かいました。

「ちょっとマッサージしてもいいですか?」
「ネイルはどの色にしましょうか」

実習生は、積極的に声をかけてコミュニケーションを取っていました。

実習生「素敵な指輪ですね」「よかったですか?」
利用者「うん。気持ちがいい」
実習生「実際にお顔を見ながら話ができて、好きな色とか相談しながらするのも楽しいですもんね」

「美しくいたい」気持ちに応える


施術を終えた実習生「なかなかお話を聞き取ることは難しかったんですけど、ご利用者様も笑顔で『気持ちよかった』と何回も繰り返しおっしゃってくださったので、本当にうれしかったです」

利用者「うれしいですよ。やっぱり女だからね、90歳過ぎても」

年齢に関わらず「美しくいたい」という気持ちに応える「介護美容」。超高齢社会を迎え、今後ますます需要が高まっていきそうです。

利用者「希望が出てきた」
実習生「やったー!」

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この記事を書いたひと

奥田千里

2000年生まれ。福岡県北九州市出身。

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