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専門家が「増税」と話すインボイス制度  影響を受ける事業者、受けない事業者 WEBデザイナーと居酒屋店主の選択

10月から、消費税の納入に関して新しく「インボイス制度」が始まりました。納税の透明性や公平性には不可欠な制度ですが、専門家によると、実は同じ個人事業主でも影響を受ける業種と受けにくい業種があるといいます。WEBデザイナーと居酒屋店主がとったそれぞれの選択とは。

制度「分かりにくい」の声

 

インボイス制度が始動する直前の9月27日、福岡市内の税務署で開かれた説明会。参加した人たちにきくと、「よくわからない」という多くの声が返ってきました。

 


建築業
「いまいちまだピンとこないです。何となくはわかりますけど・・・。今までとは請求書を変えないといけないのかな」

産廃業
「もう何社からも『登録番号を教えてください』って言われています。まだまだ理解ができない、よく分からなくて・・・」

減税か?増税か?「増税です」

とにかく分かりにくいと言われるインボイス制度。導入のねらいはどこにあるのでしょうか。企業の会計や税務を請け負う税理士で公認会計士の力丸宣康さんは、「増税」だと言い切ります。

 


公認会計士 力丸宣康さん
「インボイス制度は消費税についての改正です。増税か減税かといわれれば、『増税です』という話だと思います。どんな方式であっても今までは消費税の計算上経費にできていました。今後は『インボイス方式』という国が定める方式の請求書や領収証でないと、消費税申告の時に消費税法上の経費になりません」

インボイス制度の仕組み

 

10月に導入されたインボイス制度。小売店が卸売店から商品を仕入れて消費者に販売する流れを例に、仕組みを見てみます。小売店が卸売店から定価7000円の商品を仕入れた場合、商品代金に加えて700円の消費税を支払います。その商品を消費者に定価1万円で販売したとすると、商品代金に加えて消費税を1000円受け取ります。この場合、小売店は、消費者から受け取った消費税1000円から支払った消費税700円を差し引いた300円を国に納税することになります。この仕組みを「仕入れ税額控除」といいます。これまでは、領収書や請求書がどんな書式でも控除できていましたが、10月から、国が定めた方式の「インボイス=適格請求書」を卸売店が発行しなければ、「仕入れ税額控除」ができなくなりました。

登録事業者になるか、ならないか分かれる判断

 

インボイスが発行されないと、これまで300円だった小売店の納税額が1000円になってしまいます。小売店としては、負担が増えてしまうので、卸売店にインボイスを発行してほしいと思います。ただ、インボイスを発行するためには、卸売店が「インボイス発行事業者」として登録し、登録事業者になる必要があります。

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この記事を書いたひと

小畠健太

1983年生まれ、岡山県出身。2008年入社。「寄り添った取材」をモットーに10年以上取材に取り組む。3児の父 趣味は釣りと楽器演奏